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ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高校生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~  作者: エース皇命
九州での抗争編

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第69話 ここで明かされるラスボスと社長の接点

 西園寺(さいおんじ)は夜中に1人、キャンピングカーを抜け出した。


 黒瀬(くろせ)佐藤(さとう)に気付かれていることは本人も把握している。


 西園寺はそのまま、サービスエリア内の夜ファミレスに入っていく。

 夜11時まで開いているようだが、ほとんど人はいなかった。


 中に入ると、迷わずテーブルを選ぶ。


「相席なさいますか?」


 店員の質問に頷くと、引き締まった表情のまま椅子に座った。


 その反対側に腰掛けているのはフードを(かぶ)った怪しげな男だ。


 視線は下を向いていて、西園寺の方を見ようともしない。

 気付いているのかすら怪しいレベルだ。


「何が目的だ?」


 西園寺の低い声がフードの男にかけられる。


 ほんの少し怒気を含んだような言い方だった。


 フードの男は下を向き、西園寺に一切目を向けないまま、ハスキーな声で答える。


「言わなくてもわかるだろう。ボクは自分のやりたいことのために自分で全てを支配する。善人のキミにはわからない」


佐藤(さとう)勝海(かつみ)を送り込んだのは何のつもりだ?」


「ボクが気まぐれな人間であることくらい知ってるだろう」


「単に混乱させるための作戦か? それとも、本気であの少女が白桃(しらもも)楓香(ふうか)を始末できるとでも言うのか?」


「もしそうだとしたら……キミはどう動く?」


「守るだけだ。あらゆるものから彼女を保護する」


「そういうところだ。ボクが知る限り、キミほど綺麗な目的で冒険者をする人間は他にいない。そういうところは相変わらず尊敬している……」


 フードの男は何も注文していなかった。


 店員は注文待ちの状態だ。

 そこで、西園寺が何も言わないフードの男の分まで注文する。


 注文したのは明太子スパゲッティ。安定のチョイスである。


「明太子好きは変わっていないのか?」


 昔を懐かしむように聞く西園寺。

 その声にはどこか優しさが含まれていた。


「明太子スパゲッティを頼んでくれて安心した。好みはそう簡単に変わるものではない……」


「そうか……話を戻すが、今のお前の目的は何だ? (さい)君を執拗に狙い、天音(あまね)ちゃんを洗脳し……それでいて始末せずに放置している」


「ボクは気まぐれだ。安心してくれていい。ヴァイオレットには爆破チップを埋め込んでない。ボクが見たかったものが見れた。それで満足だ」


「……そうか」


 フードの男とはヴェルウェザーだった。

 黒瀬の両親を殺した張本人でもある。


 本名は武者小路(むしゃのこうじ)(じん)


 元々は【ウルフパック】に所属するBランク冒険者兼科学者で、かつ重要な科学テクノロジーの発展に貢献していた。

 ナノテクが搭載された腕時計も彼の発明品である。


「その言葉を信じよう。お前は昔から嘘だけはつかなかった」


「まだ信用してくれているようで何よりだ」


「……」


 西園寺が何か言う前に、料理が運ばれてくる。


 明太子スパゲッティが2皿。


 闇組織の黒幕と対峙してもなお、冷静な態度を取り続ける西園寺。その真意は神のみぞ知るところだろう。


「美味しいか?」


「ボクの1番の好物だ。美味しくないはずがない」


 ピリピリとした空気の中、食器とフォークのぶつかる音が店内に響く。


 敵対する2トップが向かい合ってスパゲッティを食べる光景はなかなかにシュールだが、この光景を見ている者はいなかった。

 ウェイターをしていた店員はバックヤードに入っている。


「今さらだが、まさかお前がヴェルウェザーの正体だったとはな」


 西園寺が軽い溜め息をつきながら言う。


「もう少し早く気付いてくれると思ったが……無敵のドラゴンウルフも鈍くなった」


「無敵、か。今はSSランク冒険者もいる。もう私が日本のトップではないということだ」


「ボクにはまだキミにトップであってもらいたい」


「その真意は何だ?」


「結果としてボクはキミの会社を辞めたが、個人的にボクはキミを高く買っているということだ」


 ようやくフードの男ことヴェルウェザーが顔を上げる。

 白い不気味な瞳が、闇を纏いながら西園寺を睨んでいた。


「だからこそ、キミの会社を潰したい。キミが絶望する姿を見てみたい……」


「会社を追い出して正解だった」


「ボクは今世紀最高の科学者だ。そんな科学者を失ってから、キミの会社の株価はどうなった?」


 その言葉を聞き、西園寺は嫌なことを思い出したと言わんばかりに顔をしかめる。

 つまりはそういうことだ。


「キミにはボクの科学技術が必要だった……ボクにはキミの力と名声が必要だった……」


「お前は狂気に憑りつかれていた」


「それは昔からだ」


「そうかもしれない。私はそれに気付いていながらも、お前を必要としていた。だが、越えてはいけない一線が存在する」


「科学者が謎に惹かれて何が悪い? ボクは科学者として至極当然な探求心に従い、大いなる野心を持っただけだ」


 かすれていたヴェルウェザーの声が、少しだけ大きくなる。

 テーブルが2つ離れていても聞こえるくらいの声量にはなった。


 目には狂気が宿り、首筋には多くの青白い血管が浮き出ている。


「ボクの目的は変わらない。ダンジョン最下層を攻略し、ダンジョンのコアを独占する。コアさえ手に入れば、このちっぽけな世界はボクのものだ」

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