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ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高校生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~  作者: エース皇命
九州での抗争編

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第68話 美女&イケメンを乗せて走る最高のキャンピングカー

 キャンピングカーは九州に向かって高速道路を走る。


 快適な車内では、再びボードゲーム。

 テレビゲームも一応置いてあるが、誰もしようとしない。


 こういう時くらいしか古典的なゲームをやらないから、せっかくの機会に楽しみたいのかもしれないし、単に画面を見るのが疲れるからかもしれない。


「フラッシュ。僕の勝ちだね」


「悪いが、こっちはストレートフラッシュだ」


「……」


 盛り上がるポーカー。


 自信満々でカードを見せた剣騎(けんき)に対し、常にポーカーフェイスで一切の隙を見せなかった俺が冷酷な一言を浴びせる。


 ポーカーは技と駆け引きが重要だ。

 ただの運ゲーがここまで人気にはならない。


 どこでベットし、どこで勝負に出るのか、という思考の面白さを知らない人間には面白みがないように思えてしまうかもしれないな。


 実際、ポーカーをして楽しんでいそうなのは剣騎と俺だけ。


 他はまだルールが理解できていないのかもしれないし、本当は楽しいと思っているのにポーカーフェイスでそれを隠しているのかもしれない。

 まあ、この状況で素直にゲームに打ち込めない、というのがほとんどだと思うが。


 剣騎は最後まで疑いの目を保ち続けた割には、佐藤(さとう)にも自然に接するし、普通にポーカーを楽しんでいる。

 不思議な男だ。


 大阪から新しく加わった旅の仲間、佐藤勝海(かつみ)はというと、どこか気まずそうな、ばつの悪そうな顔でソファに座っていた。


「ポーカーは才斗(さいと)が優勝かぁ。やっぱりポーカーフェイスが得意な才斗に最適なゲームだね」


「今回のはたまたまだ」


「あれあれ、謙遜かい?」


「ポーカーは自分が確実に勝てると確信した時にだけ大きく()けるようにしてる。あとは全部フォールドすればいい」


「なるほど。それが君の戦い方か」


 剣騎は何が面白いのか、クスクスと笑っている。


「ポーカーの戦術に、才斗の冒険者としての戦い方は出なかったようだね。いや……冒険者としての戦術の失敗から、ポーカーの戦術を考えた?」


「そこまで深く考えなくてもいい」


「才斗は自分にとってレベルがぐんと高い階層も、いつもと同じ装備で行くんだよなぁ。僕としては、怖くて仕方ないよ」


 確かに剣騎の言う通りかもしれない。


 俺は楓香(ふうか)が直属の部下になる前まで、自分のレベルを上回る階層に頻繁に挑戦しては、何度も破れていた。

 死にかけたこともある。


 少しでも早く自分のランクを高め、強くなり、両親を殺したと言われていた【漆黒のデュラハン】のいる29階層に行きたいと思っていた。


 ――いや、それが全てだった。


 今も同じだ。


 俺の頭の中にずっとあるのは、復讐。


 闇派閥の連中が親を殺したのではないかという疑惑も上がり、復讐心も今までより膨らみ上がっているはず……。


 だが、なぜだろう。


 楓香と一緒にダンジョンに潜るようになってからは、その復讐心が穏やかになっていくのを実感する。


 冷静になったのか。

 人を導くことに責任感を覚えたのか。


 少なくとも今の俺は、着実に1歩を踏み込み続けていきたい。そう思った。




 ***




 九州の入り口、福岡に着く頃には日が暮れていた。


 途中でファミリーレストランに寄って夕食を食べたりしたのもある。


「こんな素敵なキャンピングカーがあるんだ。もちろん車中泊さ」


 快適な旅とはいっても、疲れるものは疲れる。


 特に途中で佐藤が加わってからは、2倍の神経を使っていたと思う。


「西園寺さんはどこで寝たい?」


「私は大丈夫だ」


 大丈夫というのはどういう意味だろうか。


 寝ないという意味なのか、助手席のままでいいという意味なのか。


「それじゃあ、僕は運転席を倒して寝ることにするよ。ソファは2つ、ベッドと簡易ベッドが1つずつ。全員問題なく寝れるね」


「才斗くん、一緒に寝ませんか?」


「俺はソファでも簡易ベッドでも構わない。楓香はベッドで寝ればいい」


 正直、ベッドで寝ることにこだわりはない。


「才斗くんったら、彼女(・・)には優しいですよね~。あ、今日はみんないるからえっちはダメですよ」


 楓香はわざとらしく佐藤を見ながら、勝ち誇ったような笑みで言った。


 ウザいからやめた方がいいと思う。


「そうよね……付き合ってるんだからそれくらいは……」


「才斗とえっち……姉として許可できない」


 佐藤と姉さんが挑発に反応してぼそぼそ言っている。


 わざわざ否定するのはやめておいた。


「今日はお疲れ様。明日は毎食ラーメンだから、お楽しみに」


 恐ろしい剣騎の一言で、車の照明が消える。


 結局、俺はソファで寝ることになり、楓香がベッド、姉さんが反対側のソファ、佐藤が簡易ベッドを割り当てられた。


 特に話すこともないので、静かに目をつぶる。


 みんなどのくらいで寝落ちするんだろうか。

 そんなくだらないことが気になったので、自分以外の全員が寝落ちしたと判断できるくらいまで起きていることを決意する。


 照明が消えて10分がたった。


 最初に眠りについたのは剣騎だ。

 長年一緒にいるからわかるが、剣騎は寝落ちが早く、一度寝落ちしてしまえば外からそれなりに強い刺激が加わらない限りはピクリとも動かない。


 そして姉さん、楓香と、女性陣が寝息を立て始める。

 穏やかで可愛らしい息だ。


 まだ寝落ちが確認できていないのは、西園寺(さいおんじ)と佐藤。


 西園寺に至っては、そもそも寝ようとしていなかった。

 車のドアを開け、外に出ていく。


 ここはサービスエリアの駐車場だが、まだ夜の10時なので、店は開いているだろう。夜ラーメンでも食べにいくのかもしれないな。


 だが、問題は佐藤だ。


 佐藤もまた、寝ようとはしているようには見えない。何度も何度も、楓香の様子をうかがっていた……。

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