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ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高校生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~  作者: エース皇命
休日と大阪出張編

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第30話 テーマパークと現役JKの組み合わせ

「むぅー。この状況、説明してくれますか?」


 頬をぷくっと膨らませた楓香(ふうか)が、ジト目でこちらを見ている。


 土曜日がやってきた。

 本来ならダンジョンに土日2日連続で潜れるということで、神経をピリピリさせながらモンスターと戦っているはずだが、俺は今、冒険者ワールドに来ている。


 朝の8時半。

 開園の30分前だ。


「条件は守った。ホテルも予約したし、ダブルベッドの部屋にしておいたぞ」


「確かにそう言いました。言いましたけど――」


 怒った表情はそのままに、楓香が2人の人物を指さす。


「――野郎2人もセットにしてとは言ってません!」


 雑に指をさされたのは、俺たちのクラスメイトでオタク系男子である本賀(ほんが)大輔(だいすけ)

 そして、回復職(ヒーラー)のBランク冒険者で俺の友人である、中島(なかじま)富秋(とみあき)だった。


 富秋(トミー)は俺や楓香とは違って冒険者としての正体を隠していないため、本来の薄緑色の髪に青色の瞳だ。


 それを見た大輔が目を輝かせている。


「さ、才斗(さいと)、貴様……本当に中島富秋(マーティ)と交流があったのか……」


「こういう時くらい普通に話せ」


「ヤバいって、この状況……マーティさん、あの……ファンです。握手してください」


 大輔が興奮するのも無理はない。

 トミーは治癒師(ヒーラー)でBランクという貴重な冒険者だ。


 大輔(いわ)く、レアキャラとのこと。


 俺が口調を指摘すると、癖の強い口調が鳴りを潜めた。そのまま握手を求め始める。


 ちなみに、トミーの冒険者名であるマーティは、彼が好きな映画の主人公の名前から付けたらしい。


「あはは……僕なんかで良ければ……」


「トミーは謙虚すぎる。大輔からしてみれば神のような存在だ」


「それは言いすぎかな、才斗君……」


 恐縮だと言わんばかりに握手を返すトミー。

 彼はどんな時も謙虚だし、人当たりがいい。高ランクになって天狗になってしまう冒険者もいる中、彼のような善人(・・)は稀だ。


 それもまた、トミーがレアキャラであることにも繋がっているのかもな。


「って、わたしを置いていかないでください」


「どうかしたか?」


「いやいや、まずはなんでこの2人がいるのか説明してください! 今日はわたしと才斗くんのラブラブイチャイチャえちえちデートのはずですよね?」


 この発言、いろいろと誤解を招きそうだ。


 大輔とトミーの視線が俺に突き刺さる。


「何も言わなかったのは悪いが、条件は抜け目がないように設定することが大切だ。条件は1泊2日、ダブルベッドの部屋。俺はその条件ならちゃんと守ってる」


「むぅー」


 俺が予約したホテルの部屋は2部屋。

 ダブルベッドの部屋を2部屋予約した。


 これで楓香が満足するかどうかは別として、貞操の危機からは逃れることができそうだ。


「それに、せっかく冒険者ワールドに行くなら、大人数の方が楽しいだろうと思ってな」


「そんなこと絶対思ってませんよね。才斗くんはそんな外交的な人じゃありません」


「確かに大人数が得意ってわけじゃないが、友人なら問題ない」


 これは事実だ。

 トミーとは週末に会おうと思っていたし、ちょうどいい。大輔からはずっと冒険者ワールドに行こうと誘われていたので、ちょうどいい。


 それならみんな一緒に行けばいい。


「男だらけだと楓香が嫌かと思って佐藤(さとう)も誘ってみたが、連絡が付かなかった」


「そうですか。それは心配ですね」


 楓香は口ではそう言ったものの、内心ほっとしているようだ。


 佐藤が俺に絡むのを好ましく思っていないようだったからな。


 とはいえ、佐藤と連絡が取れないというのは少し心配だ。

 中2の頃、強制的に連絡先交換をさせられ、月に1回は何かしらメッセージが送られてきている。


 滅多にないことが、俺からメッセージを送った場合は毎回3秒以内に既読が付く。


 そんな佐藤が半日以上俺のメッセージを見ていない。


 ――って、俺が自意識過剰なだけか。


 そのうち既読が付いて、今から行くから!とか強気なメッセージを送ってくるに違いない。


「それで、どうしてこの2人なんですか?」


「大輔のことはわかるだろ。冒険者マニアで、ずっと前から行こうと誘ってくれていた」


「なるほど。それで誘っちゃうんですね。本賀くんは才斗くんが本当は……いや、やっぱりいいです」


 楓香が俺の正体を大輔にバラしそうになったので、目を細めて牽制した。


 調子に乗りすぎてはいけない。

 越えてはいけない線が存在する。


「それじゃあ、マーティさんはどうなんです? 才斗くんとはどんな関係ですか?」


「トミーとは友達だ。それに……」


 試すような視線を楓香に向ける。

 トミーが高名な回復職の冒険者であることから察せることは何か。


「もしかして……わたしを……?」


 楓香が気付く。

 ヴァイオレットに襲われ、重傷を負った彼女を治したのが彼であると。


 大きな目をさらに大きくし、慌てて頭を下げた。


「あの時はありがとうございました! さっきは失礼なことを言ってしまってごめんなさい!」


「いやいや、こういうことはお互い様だよ。才斗君にはいっぱい助けられてるからね」


 普段はアレでも、常識は持っている。

 素直に謝れるし、礼儀正しく感謝できる。


 それもまた、楓香のいいところだ。


「ですよね~。わたしも才斗くんには何度も助けられてて。この前なんて、わたしの中の別の人格が覚醒して才斗くんを殺そうとしたりディープキスしたりしたみたいで……そんなわたしを救ってくれたのが才斗くんなんです」


 さっきの感心を返してほしい。


 トミーも大輔も、驚きを通り越してドン引きしていた。

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