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それからはあれよあれよという間に話が進んだ。真面目なエドガーは結婚にこだわり、きちんと式を挙げて夫婦となることを望んだ。もちろん、アイリーンはエドガーの願いを受け入れた。

 二人の結婚式はサンドリッチ領の大聖堂で執り行われた。百人以上収容できるにも関わらず、空席はなく立ち見の人までいるほどたくさんの列席者が集まった。

 決して社交的ではないはずのエドガーだが、人望があった。列席者名簿には国王や名の知れた貴族の面々の名前がずらりと並んでいた。


 参列者中には知った顔がいた。友人のオゼットだけでなく侍女のシーナやルシアン、それに屋敷で働く使用人までもがふたりの祝福に訪れてくれた。

太陽の穏やかな光が差し込みキラキラと輝く色付きの美しいガラス窓。中はまるで宮殿のような立派な造りで晴れやかな舞台にはもってこいだった。 

アイリーンの艶やかなブロンドベージュの髪はこの日の為に華やかに結い上げられている。身に着けた純白のウエディングは上質の絹で仕立て上げられた高価なものだ。銀糸の刺繍とレースがふんだんにあしらわれた豪華なドレスで、アイリーンの美しい顔に引けをとらぬほどに品よく煌めている。

エドガーの頼みで町一番の仕立て屋が短い期間に仕立て上げてくれたのものだ。

 コルセットでウエストをきつく締めあげられているおかげでより一層スタイルが良く見える。


首元のダイヤモンドのネックレスとイヤリングは華々しく、普段よりもしっかりとした濃いめの化粧が彼女の美しさをさらに際立たせていた。

 アイリーンはドレスの裾を踏まぬように細心の注意を払いながらエドガーの腕にそっと手を添えて祭壇の前まで歩く。

 エドガーは紺色の礼服に身を包んでいた。両肩には金の飾緒、胸元にはその功績を讃えるようように色とりどりの勲章が飾られている。

 勇ましいく男らしいその姿にアイリーンは胸を高鳴らせた。


(なんて素敵なの……。エドガー様がわたしの旦那様になるなんて今でも信じられないわ)


司教がよくある結婚の決まり文句を述べ始める。ふと隣にいるエドガーに視線を向ける。彼はただ静かに司教の言葉に耳を傾けていた。愛する彼と結ばれるのだと改めて実感して、胸がじんわりと温かくなる。誓いの言葉の後、二人は向かい合った。


「アイリーン、愛してる」

「わたしも愛しています」


 白い祭服に身を包んだ高齢の司教が二人に祝福を与えてくれた。

 エドガーと出会ってから今までの出来事を振り返る。すべてが奇跡の連続のようだった。


(きっと天国にいるエマが、わたしたちふたりを引き合わせてくれたのね……)


彼はそっとアイリーンのベールをめくった。彼と目が合った瞬間、喜びの涙がポロポロと溢れた。


(わたしってば、ずいぶん泣き虫になってしまったわ)


 アイリーンの涙をそっと指で拭い、エドガーはアイリーンの腰を引き寄せて唇を重ね合わせた。熱いキスに大聖堂に集まる列席者から感嘆の声が漏れる。

 唇を離し恥ずかしそうな顔をするアイリーンとは対照的にエドガーは晴れやかな表情を浮かべて胸を張った。 

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