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「この者たちに襲われた時、強い違和感を持った。奴らはわたしの足が悪いことを知っているような言動を取り、明らかにアイリーンに狙いを定めていた」


 エドガーは詳しく説明をした。

 アイリーンを傷付けるように誰かに依頼されたのは、火を見るよりも明らかだった。

偶然にも、アイリーンは犯人に見覚えがあった。以前、エマを誘拐しようとしていた男の一人だったとエドガーに打ち明けたのだ。

エドガーはアイリーンに頬に十字傷のある犯人の似顔絵を描くように依頼し、その似顔絵を元に指示された騎士団が男達を探し出した。


まるで写真のような似顔絵のおかげで、男達はすぐに見つかり捕らえられた。

かつて四人は結託して、子供の人身売買や窃盗などの悪事を働いていた。それを聞きつけた人間が男達に金を払って依頼事をするようになったのだという。


それから男達は『便利屋』と呼ばれ、金を積まれればどんな汚い仕事にも手を染める犯罪集団となった。けれど、全員口が固く、依頼主と強い信頼関係で結ばれていた。中には、男達に仕事を依頼する貴族もいた。

なぜそれが分かったかといえば、男達はいざというときのために依頼書を作っていたのだ。

誰がどこでどんな依頼をしてきて、その報酬はいくらだったのか律儀に書き留めてあった。

それはすでに警護団の手の中にある。一蓮托生。良くも悪くも、男達は自身の身に危険が及べば、依頼主との運命を共にする覚悟だったのだ。


「依頼書にはもちろん、ノエビア・ロンバルドとソニア・ロンバルド……あなたたち二人の名前があった」

「依頼書……? まさかそんなものがあったなんて……」


 エドガーの言葉に継母とソニアがガタガタと震えだす。継母の言葉は罪を認めたも同然だった。先程まで怒りで真っ赤に染まっていた顔が今は血の気が引いたかのように真っ青だった。

 エドガーは継母たちに言い逃れできないよう、続けて事情を説明する。


「仮面舞踏会でアイリーンを一目見た下級貴族が多額の金額を提示してアイリーンを妻にしたいとあなたたちに願い出たという話も耳に入っている」


その提案を受けたのは、アイリーンがすでにサンドリッチ領へ行ってしまった後だった。継母は二人が正式に結婚する前に、なんとかしてアイリーンをエドガーから奪い返せないか考えを巡らせた。

 そんなとき、継母は噂に聞いたことがあった『便利屋』の男達四人にある依頼した。


その依頼とは『サンドリッチ辺境伯の婚約者であるアイリーンを、エドガーの目の前で傷付けて欲しい』というものだった。

男達は何度も断ったという。辺境伯ほど位の高い人間の婚約者を傷付ければ、警護団が血眼になり犯人捜しを始める。しかも、辺境伯は武道に精通していることが多い。失敗すれば大怪我を負うどころか命の危険に曝されてしまうのだ。

『辺境伯は足が悪くて歩くのもやっとよ』と男達を説得し、さらに依頼金を跳ね上げた。

男達は渋々承諾し、実行に移した。


「私の目の前でアイリーンが傷付けば、守れなかったことに自責の念を感じて私が彼女を手放すと考えたんだな?」


 言い当てられたから、継母は苦虫を噛み潰したようは表情を浮かべる。

 男達にとって誤算だったのは、十字傷の男がアイリーンに顔を見られたことだろう。さらに足が悪いはずのエドガーにあっという間に返り討ちに合い怪我を負わされた。


 怪我を負った男達は命からがら逃げ、継母に『話が違う!』と抗議したという。

さらに十字傷の男はアイリーンの目の傷は自分がつけたのものであると告げた。

五年前、男達は身なりの綺麗な少女を見かけて隙をついて身代金目的に誘拐しようとした。だが、予想外なことに若い女が助けに入り顔に怪我をさせてしまった。誘拐は未遂に終わり、のちに誘拐しようとしていた少女がサンドリッチ辺境伯の娘のエマであることが分かった。

エドガーの妹のせいでアイリーンが顔に傷を負ったという事実を知った継母は、今度はそれを切り札に二人に別れるように迫り、慰謝料を要求した。

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