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夕食後に夜空を一緒にみませんか、と誘ってくれたこともある。心が浮つくという感覚をエドガーは初めて理解した。

後から冷静になって考えれば、冷たい風から守る為だと自身に言い訳して背後から許可なく彼女を抱きしめたのもいけなかった。


「嫌だったら言ってくれ」というあの言葉すら最低だった。あの状況では、例え嫌だとしても正直に言えるはずがなかった。アイリーンからは花のような甘い香りがした。華奢であるのは間違いないが、腕の中の彼女はふわりとしていてどこもかしも柔らかかった。

 このまま首筋に顔を埋めてキスをしたいという強い衝動が沸き上がり、エドガーはそれをアイリーンに悟られぬように必死に抑え込んだ。

 何事もそつなくこなしてきたつもりだった。

けれど、アイリーンのこととなるとエドガーは自身を見失ってしまう。アイリーンに出会ってからのエドガーは自身を「腑抜け」だと感じていた。それが歯がゆくもあり、なぜか少しだけ心地よくもあった。


「なので、変な誤解をなさらぬようにお願いいたします」

「ああ……。疑って悪かった」


 素直に謝ったエドガーの頭の中にはある疑問が渦巻いた。ルシアンはああ言っているが、だったらあの愛おしい人を見つめるような視線は一体誰に向けていたんだろう。

 調理場の小窓を再び覗き込む。今度は型に生地を流し込む作業にうつったアイリーン。その隣には粉まみれの侍女シーナがいる。

 ちらりと隣のルシアンを横目に見る。ルシアンの口元がだらしくなく緩んでいる。その視線が誰に向いているのかにようやく気付いたエドガーは『なるほど』と心の中で呟いたのだった。

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