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「それにあの日、見栄を張って杖を持って行かなかったせいで彼女に支えてもらうことになってしまった」


 怪我をしてから杖を突いて立ち話をしたいけ好かない伯爵に、『残念だったな。使えない辺境伯になって』と蔑まれて、エドガーのプライドは深く傷ついた。

 根っからの負けず嫌いであるエドガーはその日から、貴族の集まりには杖を突かずに行くと決めていた。そんなちっぽけなプライドのせいでアイリーンの前で失態を犯して、さらに彼女に恥をかかせてしまったことをエドガーは心から悔やんでいた。


「そういえば、今日も杖を持たずにいかれたのですね?」


 一度間をおいてから、ルシアンはにやりと意味深な笑みを浮かべた。


「ああ、なるほど。今日は見栄を張ったわけではなく、アイリーン様の前でかっこつけたわけですね!」

「なっ」


 エドガーは言い当てられて苦虫を噛み潰したような顔になる。


「エドガー様は意外と乙女なところがあるんですね。ですが、カッコつけずとも、ありのままで接すればいいのですよ。アイリーン様はエドガー様の足をとやかく言うような女性ではないかと思います」

「……ああ、俺も同感だ」


 ルシアンは時間を確認して「そろそろお食事のお時間です。行きましょう」とエドガーに杖を差し出した。エドガーは頷き、黙って杖を受け取った。

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