ゆいこのトライアングルレッスンU 〜召しませ鼓動〜
『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』にて声優の下野紘さんと巽悠衣子さんに演じていただきました。
参照:【第311回】2024.9.13 放送分ディレクターズカット版(YouTubeにアップされているアーカイブ版)
『ゆいこのトライアングルレッスンU』に応募した作品です。
ゆいこ・たくみ・ひろしの原案者は巽悠衣子さんです。
なろラジと一緒に楽しんでいただけたら心から幸せです!目を通してくださりありがとうございます!!
「お姫様。今宵のダンスパーティー、私と踊っていただけますか? では、誓いの口付けを——」
「ん……」
ピピピッピピピッと耳元で鳴り響くアラームに起こされ、強制的に現実へ連れ戻される。
「なんか、いい夢見てた気がするのになぁ。ふわぁ」
あくびを左手で覆い、右手をグッと上に反らして伸びをする。昨日はドキドキしてあまり眠れなかった。
今日は高校に入って初めての文化祭なのだっ!
◇
更衣室で着替えを終えた私はパタパタとクラスに向かう。
「こーら、廊下を走るやつは逮捕する」
振り向くとたくみが、手で銃の形を作って撃ってきた。
「バーン!」
藍色の官帽に、半袖水色のシャツ。銀色のバックルに黒革のベルト。袖のエンブレムには校章が入っていて芸が細かい。
警察官の衣装を纏ったたくみがアイドルのようなウインクで射抜いてくるから罪深い。周りの女子が被弾してるじゃない。幼馴染じゃなかったら私も危なかった。
「う、く……苦し」
とりあえずたくみの茶番にノッて、胸を押さえてよろめく。
するとふわっと体が宙に浮いた。銀色のマントが私とたくみの間にバサっとなびき、風が止むと、私はお姫様抱っこをされてすっぽり王子様の腕の中におさまっていた。
金色のフリンジが付いた肩章。普段は紺色のネクタイが堅牢に締められている首元にはクラバットというスカーフ状の装飾が巻かれていて白く膨らみ、肩から腰にかけた青色の大綬が真横に見える。
「ひろし!」
「ゆいこ、具合悪い?」
「違う違う、俺にドキッとしちゃっただけ。なっ?」
たくみはいたずらっ子な顔をして近づいてきて、私の頭に自分の官帽を被せてくる。
「警官要素が入ったメイド……ありだな」
「なしだ」
ひろしはペイッと帽子を投げ返すと、たくみに背を向けて私にしか聴こえないくらいの音量で喋る。
「これ以上かわいくなったら困る」
思わず見上げると、ひろしの耳が赤くなっていた。
「待てよひろし! 俺まだゆいこに後夜祭のダンス申し込んでないっつーの! 抜け駆けすんならお前も逮捕だ!」
「このまま逃げるぞ、しっかり掴まれ」
いつもより大胆なひろし。
普段と服装が違うだけなのにどうしてこんなにドキドキするんだろう。
文化祭はまだ始まったばかり。
お読みいただき誠にありがとうございました。
(2021.2.26 放送の『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』にて、ご自由にとのことでしたので投稿しました。もしも投稿の仕方に問題がありましたら、すぐにお知らせください。よろしくお願いします。)
久しぶりの投稿にドキドキしています!
楽しんでくださったあなたさま!ありがとうございます!!