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あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません  作者: 真那月 凜


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3-2.嫁が来る(side:スターリング一家)

「…とりあえずお部屋は客間でいいわよね?」

「それはその女しだいだろ?」

「まぁ…ね。でもこれまでと違って婚姻だし離縁は認めないとされた以上は…」

オードリーは困惑の表情だ


「多くは望まん。最低限の礼儀さえ持ち合わせていれば御の字だろう」

バックスの言葉に3人そろってため息をついていると門番が呼びに来た

「もう?」

「早すぎだろ?」

「転移の魔術でも使ったか…テオはエイドリアンを呼んできてくれ」

「了解」

テオを見送りバックスとオードリーはアリシャナを出迎えに外に出た


「初めまして。アリシャナと申します」

美しい姿勢で微笑みながらの挨拶だった

「ああ、キミが…」

「あなたも大変だったわね。さぁ中へ」

2人は驚きながら中に促した


「アリシャナさんは今回の事をどこまでご存知かな?私含め誰も舞踏会に出なかったのでな、帝王からの婚姻が成立したという伝令の事しかわからないんだが…」

少し話をした後、2人の息子が部屋の前まで来たのに気づきバックスは話を切り出した


その問いに返ってきたのは驚くほど淡々とした説明と謝罪だった

しかも入ってきたエイドリアンを見て、悲鳴をあげるどころか目を反らすことすらしなかった

さらに呪いではなく祝福だと告げその説明を淡々と済ませる

テオの感情的な言葉も真正面から受け止めてしまう

アンジェラと本当に同じ血が流れているのかと思わずにいられなかった


「あなたが本当に呪われていて世間の言う恐ろしい対象だとしたら…ご家族からこんなに愛されているとは思いません」

アリシャナのその言葉に、一緒に暮らしていた家族でさえ久々にエイドリアンの表情が崩れるのを目にしていた


これまでエイドリアンを守る気持ちまで偽善だと、演技じゃないのかと責められ続けてきた

エイドリアンを苦しめるだけでは足りないらしく、我々の気持ちまで捻じ曲げてエイドリアンを攻撃する道具にする者も少なくはなかった

もどかしさと悔しさに悲鳴をあげる心のやり場を見つけられないまま過ごしてきた長い年月が、初めて報われた気がするほどアリシャナの言葉に救われていた


「部屋に連れていく」

そう言ってアリシャナを抱き上げ出て行ったエイドリアンの背中を初めて穏やかな気持ちで見送った

心を閉ざし、我々家族とさえ距離を置くエイドリアンが初めて、自分から誰かに触れたのだ


「アリシャナはエイドリアンを救ってくれるかもしれません」

「エイドリアンだけじゃなく我々もだ」

「ええ。そうね…」

涙を流すオードリーをバックスは抱きしめた

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