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あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません  作者: 真那月 凜


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2-5.旦那様とのご対面

「私は生まれた時に母の命を奪ってしまったんです。だからナイジェルからもアンジェラからもずっと恨まれて、そして恐れられてきました」

「…羨ましいと言ったのは…」

「私には得られなかったものですから」

「そう…か…」

少しの間エイドリアンは黙り込んでいた


「アリシャナ」

「はい?」

「俺たちは婚姻して今日は初夜だ…お前はいいのか?」

何がとは返さない

スターリング家に足を踏み入れた時点でその覚悟はできている

「…優しく、してくださいますか?」

アリシャナはそう言って微笑んだ


「努力する」

エイドリアンはそう言ってアリシャナの頬に触れる

自分を見るエイドリアンの目に欲が浮かんでいるのに気づきアリシャナは目を閉じた

落とされた口づけがゆっくり時間をかけて少しずつ深くなる

促されるまま、言われるままアリシャナはエイドリアンに従った

素直な反応にエイドリアンは初めて笑みを浮かべた

その瞬間からアリシャナは理性を手放しエイドリアンに身を任せた




「家族以外で俺を真っすぐ見返す人間…」

意識を手放し自分の腕の中で眠るアリシャナの髪をなでながらエイドリアンはつぶやいていた


どれだけ周りから距離を置こうと、自分から壁を作ろうと、それで得るのはこれ以上、心ない言葉や視線を受けずに済むという現実だけだった

孤独はさらなる孤独を生み、心が凍り付くような長い時間をエイドリアンは過ごしてきた


そんなエイドリアンに真っすぐ向けられる目に恐れは浮かんでいなかった

顔の入れ墨に触れながら美しい模様だと笑みを浮かべていた

エイドリアンにすべてを任せ、その全てをただありのままに受け入れようとするアリシャナ

そんな人間が気にならないと言えばウソになる


「伴侶と決めた相手と魔力を交換することが出来れば、か」

伴侶はアリシャナ以外に得ることは出来ない

仮に他の可能性があったとしてもこれまで同様望むことはないだろう


「アリシャナと魔力を交換することが出来ればこの入れ墨は消える…」

でも、と考える

魔力の交換等聞いたこともなければやり方もわからない

そして何よりこの入れ墨がいきなり消えたとしてその後は?

そこに何の答えも浮かばないことに気付く

あれほど消したいと願い続けた入れ墨が、消える可能性があるのに、である


「俺は…」

「んー?」

声に反応したのかアリシャナがうっすらと瞼を持ち上げた

「何でもない。ゆっくり休め」

「は…ぃ…」

もぞもぞと動きながらすり寄ろうとするアリシャナを抱き寄せてやると、安心したように胸に顔を埋めて寝息を立て始めた

テオ以外で初めて自分にすり寄ってくる感覚にどこか照れ臭さを感じながらエイドリアンも眠りについた


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