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あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません  作者: 真那月 凜


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29.舞踏会の準備(side:エイドリアン)

帝王から舞踏会の参加要請を受けてから俺がリーシャと過ごすはずの時間がかなり減った

「さぁ、エイドリアン、もう一度よ」

母さんが張り切ってそう言う

正直もう勘弁して欲しい


「舞踏会までもう日がないのよ?真剣になさい」

「…」

何度拒否しても反論しても無駄だっただけにもう言い返す気力も無い

毎日数時間俺は母さんからしごかれている

これまで最低限の立ち居振る舞いは身に着けていたはずだがそれでもかなりきつい

母さんは帝王の子供にも指導できるほどの技術を持ってるだけに厳しさも半端じゃない


「…もういいだろ?」

何度も同じことを繰り返し、些細な違いで指摘が入る

本当にもう無理だ…


「ダメよ。今のアリシャナが舞踏会に出ればどうなるかくらいあなたでもわかるでしょう?」

「それは…」

間違いなく注目を浴びる


「ピアスをしてると言ってもその意味を知ってる若者はたぶん少ないわよ」

流石にそんなことは無いと思うが…


「下心がなくても交流を持とうとする方は多いでしょうね」

「…」

心底イヤだと思った

リーシャのことは信じてるしリーシャがなびくとも思わない

でも、リーシャに好意を寄せて寄ってこられること自体が気に食わない


「そんな顔するなら根性見せなさい」

「根性って…」

もう大概出してると思うが?


「ピアスの事を知らない馬鹿でも、アリシャナにアプローチしたければあなたを越えなければならないことは知ってるはずよね」

「まぁ、そうだろうな」

「だったら、誰にも超えられないほどの存在になるしかないでしょう?」

母さんはそう言ってニヤリと笑う


ああ、この人はこういう人だった

俺のことで何かを言われても真正面から正論を返した上で相手を追い払う

その相手は決まって何も言い返せずに逃げていく

中には泣き出す者もいただろうか…


ピアスなんかに頼らず、文句を言えないくらい完璧に振舞え、と言うことか

「参ったな…」

ぼそりと呟いていた

母さんを前に弱音なんて吐いてる場合ではなさそうだ

俺は覚悟を決めて母さんに従った




でも母さんにしごかれた後は死にそうになる

「リーシャ…」

部屋に戻り本を読むリーシャを抱きしめる

何よりも愛おしいこの温もりを手放す気はない

そうでなければ母さんのしごきには耐えられない


「リアン、最近ずっと大変そうね?」

リーシャはそう言いながら魔力を流してくれる


温かい優しい魔力が俺の体の隅々までを癒してくれる

「あんまり無理しすぎないでね?」

「あぁ…」

リーシャには何をしているかは伝えていない

でも心から労わってくれるのが分かるだけに癒される


リーシャの隣にいるのは俺だ

それを認めさせてやる

俺はひそかにそう心に決めた

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