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あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません  作者: 真那月 凜


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14-1.苛立ち(side:エイドリアン)

アリシャナが嫁いでから1か月が過ぎようとしていた

だがここしばらくアリシャナの体調がすぐれない日が続いている

寝付けない夜も多いようだと気づきながらもただその体を温めてやることしか出来ないのがもどかしい


「大丈夫か?」

「…おはようございます」

顔をのぞき込んで尋ねるとアリシャナは笑顔でそう言った

一見血色のいい明るい笑顔に見える

でも目の前のアリシャナの顔色が魔術で誤魔化したものだとわかるだけに心配になる

本当に大丈夫ならそんなことをする必要はないだろうと問い詰めたくなるのを何とかこらえた

なぜだか問い詰めればアリシャナを追い詰めることになるのではないかと感じたからだ


「もう少し寝るか?最近ずっと体調がよくないだろう?」

「大丈夫です」

「何がおかしい?」

そう言って笑うアリシャナに思わず尋ねていた

「リアン様は心配性だったのですね」

…今なんといった?俺が心配性?

そんなことを言われて初めて自分がアリシャナの事をやたらと気にしていたことに気付く

「…俺も初めて知ったよ」

そう答えるもののそんな自分が照れ臭くなり口づけをしてごまかした


でもなぜかこの気持ちをなかったことにする気にはならない

それどころかアリシャナに惹かれていることを自覚してしまった

手放したくない。守りたい。その笑顔をもっと向けて欲しい

そんな欲が次々と溢れてくる

目の前のアリシャナが愛しくて仕方ないのだと、自覚した瞬間呪いも祝福も何もかもが些細なことに思えた

俺はもうアリシャナがいればそれでいいとさえ思える


「俺はアリシャナに救われてる。この気持ちをどうやって返せばいい?」

同じようにアリシャナの心を満たしてやりたいと思う

でも人と交流を断っていた俺にはどうすればいいかがわからない

「私は何も…」

そう答えるアリシャナが帝王に面会した日から何かを頑なに、自分の中だけに秘めようとしていることには気付いていた

それでも無理に問わなかったのは帝王が絡んでいるからだ


その時執事が俺を呼びに来た

「…ちょっと行ってくる。ゆっくり休んでろ」

アリシャナにそう告げると準備を済ませて部屋を出た


アリシャナが来てから全身のだるさが薄れることに疑問を持ちアリシャナに尋ねたことがある

その時に返ってきた答えは、これまで強すぎる魔力のよどみを自身の中にため込んでしまっていたからだというものだった

アリシャナはそれを浄化する力を持っているとその時に初めて知ったのだ


「どうかなさいましたか?」

一人考え込む俺に執事が尋ねる

「いや。何でもない」

そう返し応接室に入り中にいる人物を見て一瞬固まった

ソファでふんぞり返っているのは帝王だった

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