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あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません  作者: 真那月 凜


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10-3.とんでもない嫁が来た(side:マックス)

それにしても…と考える

吐き気がすると面と向かって言ってきた相手を抱こうと思う男がいると思っているのだろうか?


「…少なくともそんな態度の女性を抱く気にはならない。今の君を抱くなら娼館に行った方がましだ。3か月時間を差し上げよう。あなたは一度自分の立場をきちんと理解した方がいい」

「どういう意味よ?」

意味がわからない、という表情か?

どこまで説明すれば理解できるのか考えるのも無駄に思えるのは気のせいか?


「帝王の血を引く家の者として恥ずかしくないふるまいを身に着けてください。あなたに選ぶ権利があるように私にも選ぶ権利がありますから」

「は…?」

気の抜けた言葉が返ってきた

この表情を見る限り選ぶのは自分だけだと思っていたようだ

どういう育ち方をすればそうなるのか、一度詳しく聞いてみたいものだ

でも同じ家で育ったアリシャナは魔術師団に入った時点で礼儀正しかったはず

姉妹への接し方に差があったのは明確だがどれだけの差をつければこうなるのか…

考えれば考えるほど謎が深まるばかりだ


父上もとんでもないものを押し付けてくれたものだと何度目かのため息を吐いた

「明日から家庭教師を寄越します。全員が合格を出せば…そうですね、私の仕事が落ち着いていて、私の気が向けば、この部屋を訪れて差し上げますよ」

「何…言って…」

「次にお会いできるのがいつかは分かりませんが…まぁそれもあなたの努力次第でしょう」

これ以上話をするのが馬鹿らしい

話の通じない相手と話をしても時間の無駄だろうと結論づけ、反論する言葉を遮り畳みかけるように伝えた

同意など必要ない

これは帝王の命としての婚姻であり、この家の主は私なのだから


バートンの事だからこの国で一番厳しい教師人を呼び寄せることだろう

この男はどう動いているのか思いもよらない伝手を持っている

一流どころの間違いのないものばかりをいとも簡単に揃える手腕には実に素晴らしい


この子供よりも世間知らずでマナーも礼儀もない女が、一体どれだけの期間を費やせば合格を貰えるようになるのか…

おそらく数年では足りないだろうと私は心の中でほくそえむ

その間、顔を合わす必要もないということだ

教師に払う費用はそれなりにかかるが、公の場に出るためのドレスや宝石を用意する金額を考えれば雀の涙ほどでしかない

無駄な血税の消費を抑えられるのならそれに越したことはないだろう


改めて部屋の中を見渡して思う

父に譲られたこの屋敷の中で唯一疑問だったこの部屋とその中央にある柱

それがこのように監禁するがためのものだと誰が想像しただろうか

先が見通せるのだとまことしやかに話していた父の底知れない何かにわずかばかり恐怖を覚えたのだった

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