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あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません  作者: 真那月 凜


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1.突然の婚姻

ナイジェルとアンジェラはそそくさと会場を抜け出し屋敷に戻ってきた

「アリシャナ!」

ナイジェルは屋敷に入るなり声を張り上げた


「お呼びですか?」

少しすると一人の女性が降りてきた


「ついさっきお前とエイドリアン・スターリングとの婚姻が決まった」

「婚姻…ですか?」

婚約を飛ばしての婚姻は異例だと知っているだけにアリシャナは戸惑いを見せる

そもそもエイドリアン・スターリングはつい先日まで姉、アンジェラの婚約者だった男だ


「アンジェラの婚約破棄は精神を病んだという理由にしていた」

「え…?でも今日舞踏会に出席されたのですよね?」

なぜ?とでも言いたげな目をアンジェラに向ける

ウソをつくなら辻褄ぐらい合わせられないのかと言外に訴えているのがわかる


「そうだ。そのせいで帝王にバレた」

忌々しい事だとでも言わんばかりの表情でナイジェルは言った

「何てこと…帝王を謀った上に、逃れようもない状況で自爆したと?でもそれと私の婚姻に何の関係が?」

「お前がアンジェラの代わりにスターリング家に嫁ぐことがアンジェラの死罪を免れる条件だ」

「おまけに私はマックスと婚姻だそうよ。あんなチビデブの豚顔が夫だなんて…!」

アンジェラは癇癪を起こして周りに当たり散らしている


「お姉様は自業自得ではありませんか!なぜ私まで…!?」

「だまれ!どうせお前も相手が決まる見込みがなかったから厄介払い出来て丁度いい。とっとと準備してスターリング家に向かいなさい」

「…厄介払い、ですか」

「ああそうだ。シリルの命を奪ったお前のその顔を二度と私の前に見せるな」

ナイジェルはキッパリそう言った


「…本気でおっしゃっているのですか?」

アリシャナはナイジェルを睨みつけた

「当然だ。今、この場でお前とブラックストーン家との縁は切れたものとする」

「…わかりました」

アリシャナはしばらく目を閉じ、何かを吹っ切ったかのように再び目を開くと、そう言って自室に戻っていった


「お父様…私は…」

「アンジェラ…出来ることなら何とかしてやりたいが今回ばかりはどうしようもない」

「そんな…」

「モノは考えようだ。帝王の一族に入れる以上その恩恵を存分に浴びればいい」

ナイジェルはそう言ってニヤリと笑う

「…確かにそうよね。マックスなんて無視して贅の限りを尽くせばいいんだわ」

アンジェラは元々単純なせいもありすぐに納得してしまった


ナイジェルはアンジェラを溺愛しているものの、今回ばかりはどうすることも出来ない

窘めるしかできないことを悔やんだ

ブラックストーン家はアンジェラの軽率な行いと、そのアンジェラを甘やかしすぎたナイジェルの愚行のせいで崩壊寸前

それがアリシャナの犠牲をもって何とか持ちこたえることが出来るのだ

でもその現実をナイジェルもアンジェラも、かけらも理解していなかった

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