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あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません  作者: 真那月 凜


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4.家族とは

翌朝、目を覚ましたアリシャナは少しの間ボーっとしていたかと思うといきなり布団にもぐりこんだ

「おい?」

その動きで目を覚ましたエイドリアンが布団をめくると真っ赤な顔をしたアリシャナと目が合った

「えと…おはよぅ…ございます。リアン様…」

「ああ。おはよう。で?」

なぜ潜り込んでいるのかとその目が問いかけている


「な、なんでもありませ…」

「それじゃわからない」

エイドリアンはもぐりこんだアリシャナを枕もとまで引き上げる

「本当に何でもないんです…ただ恥ずかしくて…!」

「…夕べ隅々まで見たのに?」

「!」

さらっと言われたその言葉にアリシャナは疎ましそうな目を向けた


「アリシャナは自信もっていいと思うぞ?月の女神の異名は伊達じゃない」

「そういう問題じゃないです…」

消え入りそうな声で言うアリシャナはそれでも恥ずかしいのだと訴える

エイドリアンはそんなものかとよくわからないままうなずきベッドから出た


後ろから見ても左腕には入れ墨の繊細な模様が見て取れる

「やっぱり綺麗…」

封印の機能を持つその入れ墨は模様の中に呪文が織り込まれている

緻密で繊細なこの時代では知る者のないその呪文がアリシャナには素晴らしいものと映っていた


「…」

思わずつぶやいた言葉に無言で目を向けられる

「あ…ごめんなさい…」

叱られた子犬のようにシュンとしたアリシャナの額に口づける

「…リアン様?」

「アリシャナの言葉は不思議と心地いい。癖になりそうだ」

「え…?」

驚いた目を向けるアリシャナを置いてエイドリアンはシャワールームに入っていった




エイドリアンに促されながらバタバタと準備を済ませると2人で食堂に向かった

「おはようアリシャナ」

「よく眠れた?」

「おはようございます。はい。ぐっすりと…」

笑顔で迎え入れられる初めての感覚に心が落ち着かない


「アリシャナおはよう。2人とも早く座りなさい」

「あ、はい」

バックスに促されエイドリアンの隣に座る

皆が席に着くと食事が運ばれてきた


「アリシャナはこの後は魔術師団か?」

バックスが尋ねる

「…魔術師団はやめようかと」

「何で?」

テオがすかさず尋ねる

「父が…」

「ナイジェル殿が何か?」

「はい。昨日父に二度とその顔を見せるなと言われましたので…」

その言葉に4人は顔を見合わせた


「仮にナイジェル殿がそう言ったとしても帝王がそれを許すかね?」

「帝王は元々私が魔術師団に入ることをよく思っていませんでしたから」

「なぜ?」

「帝王は父が魔術師団長になるために私を入れたとご存知でした。ことあるごとにやめるよう進言されましたが父が毎度毎度理由をつけて説得していました」

「じゃぁあのおっさんはアリシャナを魔術師団に引き留めてきたにも関わらず顔を見せるなって言ったってこと?」

「そうなりますね。おそらくそこまで考えてはいないと思いますが」


当たり前のように言うアリシャナにテオが笑い出す

「アリシャナ最高。俺アリシャナ気に入った」

「こらテオ」

ナターシャに窘められたテオはバツが悪そうに笑う


「帝王のところに行くなら俺も一緒に行こう」

「…リアン様、よろしいのですか?」

「ああ。俺も近いうちに顔を出すように言われていたからな」


「今リアン様って呼んだ?」

すかさず突っ込んだのはテオだ

「あ、はい。そう呼ぶようにと…」

答えながらエイドリアンを見るが相変わらず無表情のままだった

それでも夫妻が優しい表情で見守ってくれているのに気づきホッとしていた


「アリシャナ、これからいろんなお話をしましょう。母として、家族としてアリシャナの事を沢山教えて頂戴ね」

「…お母様…」

家族として、その言葉にアリシャナは心が温かくなるのを感じていた

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