1番完璧な自殺
これは、小説では、ありません。
『死にたい』
そう思ったとき、あなたはどんな死に方を選ぶでしょうか。
首吊り?飛び降り?それとも溺死?
いえいえ、そんな死に方では死にきれないかもしれません。
62.8%
これは、『自殺を試みて失敗した人間』の割合です。つまり、3回に2回は失敗する、という事です。
バカバカしいですよね。
せっかく勇気を出して一歩踏み出したというのに、失敗。さらに後遺症まで残ったりなんてしたら。
たまったもんじゃないですよね。
そう、だからこそ私はこの方法を選んだのです。
1番完璧な自殺方法。プロの力を頼って、沢山の人に見守られながら、確実に死に行ける方法。それこそが……
「おい、何を読んでいる」
不機嫌な先輩の声で顔を上げる。
「今日はもう帰っていいぞ。色々、キツイだろうし。」
帰る支度をする先輩の背中に、ふと、思ったことを言う。
「もし、安楽死という死に方が選べる世の中だったら。」
「彼は、死刑なんて言う自殺方法を選ばなかったかもしれないですね。」
穏やかな顔でゆらゆらと揺られる彼の、最後の言葉を読んでそう思ったから。
こんな動機で大量殺人がおきたら……
おそろしいですね。