星夜祭
漂う海に何もない
私は小石を投げ込んだ
さびしくて
さびしくて
誰かのことを想う
どこまでも小石から漏れる声が
ひっそりと瞬く星の声と混ざらないように
聴き分ける
静かな小さな小波が
星くずの尾の光に
かき消されないように
歌う
砂浜の砂粒たちが
今日も変わらず地球の一員であることを
誇らしげに
眠る
月の浜辺
歌声を光にまじらせて
この地球の裏側へと響かせる
みんな眠っているのを良いことに
ひとりうっとりしている
影たちが聴いている
私が小石を投げ込む音
漂う海に何もない
どこまでも沈んでゆく
海底の石ころになる
ひとりの人が生まれて死ぬ
生きものたちが滅びる
天気が変わる
この地球の体温が上がる
宇宙は相変わらず無関心を装っている
胃袋がチクリと痛む
次世代の宇宙が
ビッグバンを狙ってる
惑星の連なり
カラフルにミラクル
闇だけが宇宙じゃない
ピンク色
緑色
本当の色をみせずにくるくる回る水色
宇宙のドッペルゲンガー
もうひとつの地球
惑星
鏡のように
無限に連なりあう
祭りの屋台の夜店のように
どこまでも
鳥居くぐって
神社の境内のお近くまで
その中にある
大きな飴玉リンゴ飴
迷わず特大を頬張る
夜空の大輪
花火
たまや
季節は素早くめぐる
もう春から夏へと生まれ変わろうと
ま緑の深々しさを照らしつける
雨
深夜の帰宅
霧の中
微睡む昨日の記憶
忘れた今日の出来事
今
君と
リンゴ飴頬張りたい
神社の境内で燃える灯火
パチパチ
護摩焚き読経
パチパチ
祝詞に
真言
あらゆる炎の中に舞う神様仏様
みつめていたい
君と
手を握りしめる
溶けたリンゴ飴
口の中も回りも真っ赤
舌も真っ赤
炎で火照った顔が
君が
本当に可愛くて
リンゴ飴のように
真っ赤な君が