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1-5 傭兵として

「今の<聖者>はかつての力を取り戻すべく西側では国を作り、3つの国を属国としている。そして、西側の各国々に教会を創設して布教を行っている。最近では東側に宣教師を送り込んで勢力の拡大を目論んでいるようだ。一方で、<賢者>はエドルフが作った学院(アカデミー)、マオが作った傭兵派遣組織(フリーカンパニー)、私の先代が作った自由商工同盟(ギルド)の3派閥が協力し合って運営している。学院(アカデミー)は主に西側で活動している。彼らは教会の陳腐な教育に対抗して、魔法だけでなく、自由七科(リベラル・アーツ)、神学、法学、医学、哲学を勉強させている。傭兵派遣組織(フリーカンパニー)は主に東側で活動していたが、東の(イースタシア)の統一とともに追い出され、今の地で活動している。当分の目標は西側だな。<聖者>は東側に進出しているとはいえ、奴らはおそらく失敗するだろう。南で活動している自由商工同盟(ギルド)は東と西をつなぐ中継貿易で確実に力をつけ、西の自由貿易にも対応し、西の各国に商館を設立している。東は閉鎖貿易だから、そんなに力はないが大丈夫だ。<聖者>も南に教会を建てようとしたが、宗教ギルドを作らせ、我々の管理下に置いている。全体的にみても我々が現在優位に立っている」


先ほどからジョゼフィンのペースで説明が続いている。



ライカはジョゼフィンの、研究者語りの話にうんざりしたのか、話を打ち切った


「ジョゼフィンありがとう。基本的な説明はもういいわ。ええと、私が話したかったことは、この大陸の中央には白い壁に包まれた地区があるの。そこには<王>とその側近やその子孫、そして選民が住んでいるわ。そして、かつての<聖者>は彼らを敬い、<賢者>は彼らに反抗した。壁の外にいるのは賤民と棄民という図式ができる。今わかるのは<聖者>と<賢者>は棄民ということ。あともう一つ、この地には目の前の壁に沿って出来たスラム街…私たちはゴミの王国(ダストカントリー)と呼んでいるここ以外にも、ここと似たような賤民が住むスラム街やキャンプ場などが数多くあるの。そこで私は今、自由商工同盟(ギルド)と協力して隊商(キャラバン)や行商隊を要請して、各地の勢力と交通網を築いてるわ。もちろん道中には多くの魔物が潜んでいるから、護衛としてたくさんの傭兵が必要となる。そのための≪DOW≫よ。各地域には街を守るために常駐している傭兵団として≪T.T≫という、まぁ≪DOW≫と同盟を結んでいる組織が担当している。例外として、この大陸の首都みたいなこのゴミの王国(ダストカントリー)は≪DOW≫が守っているけど…」



突如、ジョゼフィンが割り込む


「≪T.T≫って存在していたのか?てっきり都市伝説かと思ったぞ?」


「ちゃんと存在するわよ。うちの同盟組織だけど…ていうか、もともと≪DOW≫と同じ、マオが作った組織≪L∴E∴T≫から分裂した4つの組織の一つでしょうに…ちなみに悪名高い懸賞金ランキングだと上位のほとんどが彼らでしょ?」


「…」

「…」

「…」

「…何か言いなさいよ」

「なんか…すまん」


「コホン、で、話を続けるとシュナ君は今見習いなの。当分は、この護衛任務を行って貰うわ。まず最初は隊商(キャラバン)で傭兵団に守られながら傭兵の知識を身に着けていただく。その隊商にジョゼフィンを同行させるから、馬車のなかで研究を手伝うといいわ。シュナ君は棄民だからある程度戦い方は体が覚えているはず、下手をすれば賤民出身の傭兵よりも強いはず、経験を積んだら、ジョゼフィンに行商をさせるからその護衛をさせる。大体2年ぐらいかしら…終わったら戻ってきて、その時にあたしの仕事を引き継がせるわ。話は以上よ。今日は休みなさい。明日出発ね」





この後、俺は隊商(キャラバン)の護衛の一員として、旧≪マレクス神聖国≫の地を旅した。俺は初めはナイフ一本で獣共の首をかっきり、少し経つと、刃渡り1.2メートルの剣で襲ってくる野盗どもの首を刎ね、最後は刃渡り1.8メートルの大剣で魔物の体を真っ二つにする。途中の街で多くの≪T.T≫の連中と仲良くなり、一部の幹部に気に入られ何度も殺されそうになるが、何とか生き延びた。その間ひたすらジョゼフィンの教えを受け、研究員として一人前になったらしい、彼女曰く魔法に関しては生徒、学生、専門士、準学士、学士課程を終えてるそうだ。ふつうは10年かかる課程を一年で終え、残り一年をかけて修士と博士、可能なら賢人も終えたいところだ。ちなみに、傭兵と学徒をしているだけでは物足りず、医師ギルドに入り医者として勉強を一年かけて行い、半年で徒弟を終え、職人、ついこの間親方から達人の称号を貰った。人を雇うことはできないが、店を開くことが出来るようになった。そうして、俺は成長していった。



「お帰りなさい…見違えるほど成長したわね。≪T.T≫の幹部達から手紙を貰ってるわ。彼らの下で修業を積んだのはよくわかったわ。一応実績として、雑用係、小姓、従士3級、2級、1級、従士頭、団員3級、2級、1級を終えたわね。次は三役隊員だわ。第一親衛隊のハウンドが早速シュナ君をスカウトしに来てたけど、代わりに断っておいたよ。その代わりに第二遊撃隊に入隊して貰うわ。そこでの貴方の任務はただ一つ、この隊は色々と問題を起こしているから一回潰してきて、殺しちゃだめよ。隊長名はヘアレスよ。頼んだわ」

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