1-1 運命始動
カクヨムに乗せた≪O brave new age~ああ、素晴らしき新時代≫のリメイクですね。就活で忙しく、半年放り出して書こうと思ったら、進みませんでしたので。設定は大幅に変えて、世界観と用語はそのままにしようと思います。就活は7月まで(内定もらってるのにW)続けるので、更新遅いです。
目を開けると、目の前には灰色の雲が空を覆い尽くしていた。その空からは絶えず黒く粘り気のある雨が降り注ぐ、その雨は俺ののどを癒すどころか、更なる渇きを掻き立てる。
「おい、また人が捨てられてるぜ…息はまだあるようだが、こりゃ…ひでぇ…脚を切られ、左腕をもがれ、右目も潰されるなんぞ、人間のやることじゃねぇ」
興味から様子を見に来た男が悲痛な顔をする
「おい、放っておけ。その様子だともう助からないだろう。かりに生き延びても、絶望だろう」
別の男が引き止める
「シュー、シュー」
不思議な呼吸音が響く
「おい、ゴミ拾いが来たぞ。終わったな」
この地で最も嫌われている者たちがやってきた。全身を覆う灰色の服。頭を覆うマスクから覗く水晶の眼鏡、口元からは突き出る金属の筒。外気と少しもの接触を拒絶するその姿と、芋虫のような外見は更なる恐怖と嫌悪感を与える。彼らは死体から、物を剥ぎ取り、それを売り物にしている。更に拾った死体を部位ごとに解体し、あらゆるルートで売りさばく節操のなさも有名である。そのため多くの人は芋虫、蛆とかげ口を叩く
その時、様子を見に来た男たちの群れの間を一人の…白いローブを着た長身…2メートル以上ある女が通り抜ける。そして捨てられた少年の前に立つ。
「躯拾いよ。彼は私が買い付けよう。いくらだ」
芋虫の集団の中から一人が進み出る。
「うぉぉぉぉぇ」
一人が突然吐瀉し、それに続いて数人もゲロをぶちまける。芋虫の体から香る強烈な死臭に耐えられないのだ。
だが、この女は平然としている。
「コ、コイツハ、マ、マダ、シンデ、ナイ。オレラ、シタイホシイ、イキテルノ、イラナイ。オ、オマエ、イル?アゲル。タ、タイカ、イラナイ。アゲル」
「なら契約は成立だ。この子はもらう」
女は芋虫に微笑むが、芋虫は興味な下げに後ろに振り向く。
女は男が捨てられた方向を見る。目の前には50メートルぐらいの白い壁が地平線に沿って伸びており、中と外を完全に区別している。
この少年はあの壁の上から投げ捨てられたのだ。普通なら潰れてミンチになり、全身の骨が粉砕し、内臓が破裂し、もっとひどいことになるのだが…この少年はミンチになることだけは避けられた。それでも、骨が粉砕し、内臓すべてが破裂し、脚と左腕、右目は止血されていないから常に血が流れている。死んでもおかしくないが…
「どうやら、死ねない体みたいだね。肉体と魂が無理やりくっつけられてるね。切り離せないね。ふむ、いい検体が手に入った」
目を開けると、穴だらけの天井が目につく、俺は…じっと見続ける。何をしたいのかわからないのだ。
「目を覚ましたかい。体をいろいろと弄らせて貰ったよ。2週間昏睡状態だったね。その間手術の真似事をさせてもらった。といっても、体の中はグチャグチャだから手の施しようがないんだけどね」
女…尖った耳に褐色の肌を持つ女は妖艶に微笑む
「吸血鬼って知ってるかい?この世界の北に住む神の失敗作の一つだけどね。彼らは強靭な肉体に、高い再生能力と免疫性を持つ彼らは何故失敗作と呼ばれるのだろうか?成功作の人間と違って…それは彼らの今の姿は仮初の姿だからね。本体はその体内に宿る血なのさ」
女は饒舌に話す
「…だから」
「少年。君を人工的に吸血鬼にしたよ。昔、実験で捕まえて絞り取った血を持ってたからね」
彼女はガラスの管を取り出す。中は白濁した液体が入っていた。
「普通の血は赤い、だが、私が捕まえたのは人間の血が混ざってない同族喰らいと呼ばれる純粋種だよ。だから、まるで生命の源のように白濁している。なんとも淫靡なものだろう」
女は頬を赤らめ、恍惚とした表情を浮かべる。
そのままの表情で
「今の君は本体が血だ。だから体がいくら壊れようが死にはしない。そして、その外殻は強力な再生力を持っている。うん、なかなか面白いデーターが取れた。感謝する。さて、自己紹介が遅れたな私はジョゼフィン。
またの名は≪南方の賢人≫とも呼ばれる」