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騎士物語〜Knight Story〜  作者: 無名の星
第1記憶塊 旅立ち(K.E1257年〜?年)
9/9

Memory8 脱出

ただ、一つのあるかもわからない曖昧な真実の為


ただ、それだけの為に


少年は前へと進み続ける。


後ろを向く事など考えた事がなかった。


其れが彼の強さの一つなのだろう。


純粋に目標を目指すその姿は


とても勇気があり、輝いていた。



  「行くか‥‥。」

 カイン以外誰もいない部屋の中で、その小声

 は、とても大きく響いた。

  父さん‥‥って言うのはおかしいか‥‥。

 16歳になった時から

 あんたって言ってたもんな‥‥。だが、俺に

 とってのたった1人の親だ。

 あまり話した事はなかったけど、母の話し

 を自分からしてくれた時は嬉かった。

 正直もっと父親らしい事をして欲しかったと思ったが、代理の王だからいろいろ仕事が

 大変だったのだろう。そういえば

 王が2人いるって事も教えてくれたな。

 本当なら話してはいけないような事を

 話してくれたのか‥。感謝をするべきなのか?いや‥。俺はそんなの間違っていると

 思う。なぜそんなに記憶を隠したがるのか?

  カインは頭を抱え悩んでいた。

 でもそれも今日わかるかもしれない。

  ギーガー‥‥。お前は俺の中で最高で唯一の友

 だった。俺を越えようとするその透き通った水色の瞳は本物だった。

  お前が俺を越えたいように、俺はお前のように何か目標を持ち目標のために本気になりたいと思った。凄く退屈で孤独だったからな。

  久しぶりにやった模擬戦は、今までで一番

 ハラハラして楽しかった。

  一歩遅かったら俺の兜が宙に飛んでいた

 だろう。

  ようやく何かのために本気になる事が

 出来そうだ。

  ‥‥‥‥ありがとう。

  カインは出発前に2人の事を思い、剣を鞘に収めて、

 静かに自室の扉を少し開け、廊下を覗いた。

  誰もいない‥。チャンスだ!!

 少しずつ音を立てないようにギリギリ自分の

 体が通れるまで扉を開き廊下へ出た。

  隠れる所は一つもない。前から見張りの騎士が来れば間違いなく見つかる。

  その前に階段に行かなければ‥。

  カインは速く、かつ慎重に足を運んで階段まで目指した。幸い騎士の気配はなく簡単に階段まで行く事が出来た。ここまでは順調だ。このまま下に降りれば大扉だ。

  一歩一歩、常に下を警戒しながら階段を踏みしめて降りていく。

  こんなに緊張をしたのは、初めてかもしれない。

  模擬戦では緊張という感覚をもった事がない。むしろリラックスしている。

  相手は多分すごく緊張しているのだろう。

 動きが止まって見えるからな‥。開始前から諦めて我武者羅に剣を振ってくる奴もいる。

 本当につまんない。もっとギーガーみたいな奴がいれば面白いのに‥。

 カインは、たまに訓練場で不定期に開催されるランダム模擬戦を思い出していた。

  彼は一度もこの模擬戦で負けた事がなかった。今訓練をしている見習い騎士で最も強いのはカインだろう。

  一部では王や代理王に敵うのではないか

 という噂まで見習い騎士や上級騎士の間でながれている。

  セントリーブラッド共和国の中で

 カイン・B・セントリーという見習い騎士を知らない者は、まずいないだろう。

  それほどに有名であった。

 だから他の騎士達はそれを妬み、奇襲をしたりして潰そうと試みたが誰一人として成功した者はいなかった。わざと模擬戦などを負けようとした事もあったが、幼い頃からの訓練が染み付いているからなのか?なぜか体が自然と動いてしまい。勝ってしまう。

  気が付いた時には彼は負けを知らない孤独で傲慢な性格になっていたのだった。

  いつかカインは自分が敵わない相手に出会ってみたい。

  世界や他の国の有名な騎士達と戦ってみたい。そんな思いがいつもカインの心の中にあった。

  足が冷たい‥。革靴を履いているがその冷たさが足先まで染み込んでくる。

  カインは既に一階の大扉前にいた。

 大扉は基本的に夜に閉まるが、大扉の中に夜に見習い騎士が外出するようの小さい扉が

 設けてある。つまり大扉が閉まっていても外に出る事は可能だということだ。あの扉が開いていればいいのだけど、

  まぁ、開いていなければ壊せばいいだけの話だ。その場合大きい音をたてるので見張りの騎士が来るのは間違いない。

  その時はその時だ。カインは深く考えるのを止めた。階段の角から大扉の間を覗き見する。

  見張りの騎士がいる気配はない。ここからだと奥までは見えないが、幸いここは隠れる場所もたくさんある。なぜならこの大扉前の広大なスペースは様々な物資や武器が置かれており

 倉庫として使われているからだ。

  北の階段から右に行けば南の階段と剣の訓練場などの施設が、

  左に行けば、食堂や病院などがある。

  カインは物に隠れながら鎧の音をたてないよう徐々に大扉に近づいていった。

  大扉まで、あと一歩の所まで来た時

 剣の訓練場の方から鎧の音が聞こえたので

  カインはビクッとして咄嗟に近くにある

 剣や斧が二、三本入ったひとまわり大きい鉄製の樽の中に身を潜めた。

  樽の僅かな隙間から大扉の一部を見る事が出来る。

  ガチャガチャ‥。いつも聞いているその音は

 いつも以上に鮮明に耳に残る。

  足数にして2〜3人か?

 カインは大扉をジッと見ていた。

  ちょうど見える範囲に2人の見張りの騎士が目に映った。

  2人とも兜を被っていて顔まではわからない。

  1人は、この国では珍しい特大剣を装備し、

 もう1人は二刀流か?長い直剣を二本左右の腰に納めている。

  「此処に来るのは久しぶりだな。」

 特大剣の騎士が話し始めた。

  「そうだな‥。遠征から帰って来れた直後に見張りとは、ついていないというか何ていうか‥。」

  二刀流の騎士は腰の剣を触りながら言った。

  遠征‥?故郷や他の国での訓練か?

  それとも父さんが言っていた敵との戦いか?

 特大剣の騎士は続けた。

  「しかし、此処では何故、結晶装備を使ってはいけないのか俺にはわからんな。

  いざという時どうするんだ?こんな装備じゃ

 自殺行為だろ?」

  「何でも子供や見習い騎士に結晶の力や存在をあまり公開したくないそうだ。この国では記憶石の記憶も話してはいけないそうだしな。特に騎士を目指す者には記憶に関して厳しいらしい。

  王曰く、記憶は訓練して自分の力で見て欲しいのだとよ。多分前に子供が記憶を見て死んだのが原因だろ‥。もう1000年以上も昔の話しだがな。」

  カインは2人の会話に混乱していた。

 結晶装備?記憶を見て死んだ?新しい単語が沢山出てきて頭が混乱する。

  特大剣の騎士は大扉に背もたれて話した。

「俺らが記憶石に触ったのは10歳頃だったっけ?この国は平和で弱すぎる。外で今起こっている事について子供達は知るべきだと思うんだが?」

  「エドガー‥。俺は今の時代にこの様な平和を謳う国は必要だと思うぞ。知らなくて良い事は世界に沢山ある。せめてこれから産まれて来る子達には少しでも安心させてやりたいんだと思う。記憶石に触るのも自由だしな。

 騎士は強制だけど‥。」

この二刀流の騎士の会話で特大剣の騎士が

エドガーという名だという事がわかった。

「サイガー確かにそうかもな。俺はこの国の子供達が羨ましいぜ。俺達は子供の頃から毎日が死と隣り合わせだったからな‥。今もだけどよ。」

二刀流の騎士はサイガーという名か‥。顔までは暗くてよくわからないが、毎日が死と隣り合わせだというと故郷はノースブラッド、

おそらく2人とも血の民だ。

「そうだな‥。そんな感情を抱いた頃が

あったが別に現実が変わったりするわけじゃない、俺達は常に強くあり、生き残っていかなければならないんだ。またすぐに遠征の呼び掛けがくるだろう。せめて見張りの時ぐらいはゆっくりしたいものだ。」

サイガーは、あくびをしながらいきなり左右の腰の剣をすばやく抜いた。

エドガーも特大剣に手をかけていた。

これを見てカインはビクッとした。

「エドガー‥。さっきから誰かが俺達を凝視してるんだがこの場合どうしたらいい?

最初から気づいていたがついつい疲れでお前との話に夢中になっていた。」

やばい!どうすればいい?

大人しくここから出た方がいいか?

2人の騎士は、凄まじい戦闘体勢のオーラを

放っている。

カインは暫くその場で固まったままだった。

と、その時エドガーが特大剣に手をかけるのを止めた。

「ま、いんじゃねーか?多分、こんな時間にうろうろしてるんなら例の奴だろう?」

サイガーは少し黙ったままカインが隠れている樽を見続けていた。

「そうか‥。あいつが言ってた奴か‥。」

「ああ。そうだろう。そもそもこの国の事情など知ったこっちゃない。それに人間が何かを知りたいのは普通の事だと思うしな。」

「フッ‥。あいつに任せるか。疲れたしな。エドガー眠いから俺らの部屋に戻ろう。」

そう言うとサイガーは、大扉の中にある小さい扉の鍵を開けた。

「じゃあな。確かカイン?と言ったか

忠告しとくが、この先の教会に行けば、お前は間違いなく死ぬと」

「サイガーそれは言い過ぎじゃねーか?

あっ!でも本気になったら命はないかもな‥。俺達もお前と戦ってみたいから絶対に死ぬなよ!じゃあな!」

2人は話しながら剣の訓練場の方へ歩いて行った。

カインは呆然としながら、2人の声が聞こえなくなるのをただ待っているだけだった。

不思議な感覚だった。体が全く動かなかった。何故だ?

それほどに2人の騎士の存在に圧倒されていたのだろう。

完璧な構え。何よりもあの体から湧き出る人に威圧を与える見えない力。

初めて本物の騎士というのを見た気がする。

エドガーとサイガー。

俺の名前を知っていた。この先に死があるだと‥。

はははっ!おもしろい!やってやろうじゃないか!もうどんな凄い奴がでてこようと

俺は全力で向かっていってやる!そして生きて戻って、あいつらにも勝ってやる!

カインはそう心に誓うと樽から抜け出し、外に出る扉を開いた。

悔しい‥。何も出来なかった自分が‥。

これは敗北と言うのだろうか?

外に出る事は嬉しいはずなのにそんな感情は何処かに消えていた。

冷たい風が体全体を撫でる中カインは剣の鞘を力強く握っていた。









文章ぐっちゃぐちゃで上手く伝わらないかも知れませんヽ(´o`;

すいません(´・_・`)

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