Memory7 作戦
★騎士の規則(一部紹介)
第12条‥‥騎士の誓いは必ず守るものであ
る。守れないものは騎士では
ない。己の言葉に責任を持て。
第25条‥‥見習い騎士は自分の住んでいる
拠点の外へ決して出てはならな
い。外へ出る事は死に値する。
これも訓練の一環である。
時が来たら全てを知る事になる
であろう。
第26条‥‥民(自分の家族、親族も含む。)
の命が一番。
仲間の命が二番。
自分の命が三番。
第30条‥‥逃げる事は許されない。
逃げは死に値する。
最後まで戦いぬけ。
第33条‥‥一生懸命戦っての死は
恥ではない。誇りだ。
最高の敬意が与えられるで
あろう。
第34条‥‥過去の記憶などを国の正式な騎士
や国民は見習い騎士に話しては
ならない。過去の記憶は語れる
ような軽いものではない。
これは騎士を目指さない国民も
なるべく子供などに伝えない
ように、知りたければ覚悟をし、
努力をし、自分で掴み取るように
この騎士の規則は国や地域によって
多少異なるが、大まかな事は何処も
一緒である。
この騎士の規則は大昔に作られたとされている。現在でも新しい規則が追加され続けている。規則にそって騎士を育成する
事を騎士制度という。
騎士制度は世界共通である。
午後の訓練中、カインはずっと平和の教会まで、
どの様に行くかという事を考えていた。
夜に抜け出した方が安全か‥。
見張りの騎士達は、どう対処するべきか?
身を隠しながら到達出来るだろうか?
そもそも平和の城を出る事が可能だろうか?
あぁ‥!考えれば考えるほど問題点が見つかりキリがない!!
カインは、訓練中何回も目を瞑り、頭を振った。
ギーガーは、そんな彼を心配して見ていた。
剣の訓練など、今は集中出来ない。
一つでも多くの城の出方と教会の行き方を考えなければ‥。
訓練が終わる事には、カインは一つの行き方に辿りついた。計画は今日の夜に実行すると誓っていた。
その内容は以下の通りだ。
まず、最初に夕飯を食べ風呂に入った後、自分の部屋に戻る。夕飯や風呂は一人でもいいがギーガーが心配するので、彼とはなるべく一緒に行動した方が良いだろう。そして消灯時間まで待つ。
この待ち時間に自分の剣と鎧を万全にしておく。いつも万全の状態だが、最悪の場合、見つかって、
見張りの騎士と戦闘に、なるかもしれないので、
前に武器庫から持ってきた砥石で剣を限界まで鋭くしておく、本来見習い騎士は砥石などを武器庫から持ち出してはいけないのだが、万が一の時のため、カインは寝坊してペナルティとして剣の手入れをした時に何個か盗んできていた。訓練用の剣に鋭さなど関係ないが今日は違う!殺されるかもしれないし殺すかもしれない‥。その覚悟もカインはしていた。本当は今日の訓練の後武器庫で磨くという手もあったが、ギーガーに気づかれるだろうし、訓練用の剣は砥石が勿体無いので、余程の事がない限り磨く事はない。まぁ、何かルールを破ってペナルティを課された時は別だが‥。だからカインは自分の部屋で準備をする事にした。ここなら一人でゆっくりする事ができ、心を落ち着かせられる。
剣の訓練場での装備は皆同じである。
鉄の剣に鉄の鎧そして鉄の兜を装着する。
剣と鎧は自分の部屋に持っていっても良いし武器庫に置いてもいいが兜は毎回回収される。これは兜の整備が難しいからだそうだ。模擬戦での兜も同じ様に回収される。カインは毎回部屋で剣と鎧の手入れを自分でしていた。
正規の騎士に、なると国専用の剣と鎧が
与えられるらしいが、カインは普通と、どの様に見た目や性能が違うのかとても興味を持っていた。
そして次に、深夜の2時に部屋を出て、北の階段から城の入り口に向かう。
カインの部屋は、5階で北と南にそれぞれ
一つずつ階段が設置されている。
深夜の2時に北の階段から行く理由は前に、食堂で後ろに座っていた2人の見習い騎士の会話を思い出したからだ。
「そういえば、北の階段付近は夜になると
見張りの騎士は、あまり巡回に来ないって噂だ。」
「マジかよ!それが本当ならこの城から出られるかもな!」
「ふふ‥。それが、噂ではなく本当らしいぜ。俺の友人で北の階段付近の部屋に居る奴がいるんだが、巡回に来るのは基本1人で、
しかも深夜の2時ぐらいになると、いなくなるらしい。それで、ある日奴は意を決して北の階段から下りて、城の出入り口まで行ったそうだ。まぁそこで2人の騎士に見つかって酷い目にあったそうだが‥。下におりる事が出来ても入り口にいる騎士達をどうにかしないと外に行く事は困難だな。奇跡的に外に出られたとしても命を狙われるだけだしな。」
この2人の見習い騎士の会話をカインは鮮明に覚えていた。
カインは、この会話を聞いた時から城からの脱出を実行しようとしていたが、仮に外に出られたとしてもこの国からは出られず、どこに行くか当て付けもなく、隠れていても必ず見つかって殺されてしまうとわかっていたため諦めていた。しかし、今は違う‥。平和の教会に向かうという目標がある。
そこにカインが求めている真実があるかもしれない。ザックが外出する事は、あまりない為、記憶石が無くても何かしらの国や世界に関する物があるとカインは信じていた。
まだ、本当かどうか確証はないが、試してみる価値は十分にある。
階段をクリアできたら問題は出入り口と外を巡回している騎士だ。
外の騎士は草むらや木の陰などで身を屈めてやり過ごす事が出来るが、出入り口付近は無理だ、通称平和の大扉、この城を出入り出来るのは、ここ以外ない。
星の民、セントリー家を象徴する青と
血の民、ブラッド家を象徴する赤が
半分ずつ塗られたとても大きな鉄の扉は、
誰でもその大扉を前にしたら立ち竦むような威厳を放っていた。
それもそのはず、青色の中心には大きな星の中にかつて星の民を救い、国を発展させた偉大な騎士達が使っていた特別な剣や盾などの装備が全部で10セット書かれており、
赤色の中心には、集落ノースブラッドに代々伝わる血の甲冑と7色に光る槍を携えた騎士が、北西にいるという凶暴な動物、ノウスデイモンに乗っている姿がでかでかと書かれていた。
それぞれのシンボルは、国や民の誇りと栄光を物語っているとても輝かしいものだった。
カイン自身も幼い時に、この扉を見て
自分も混血の星の民としてセントリーブラッド共和国で活躍して、星の民のシンボルに加わりたいと思っていた。
早くどんなに小さい事でもいいので真実を知りたい。頭はその事でいっぱいだった。
カインは、もし出入り口付近に騎士が、
いたら、他の騎士を呼ばれる前に素早く迅速に気絶させると決めた。
殺しは最終手段だ‥。出来れば同族や血の民を傷つけたくない。多分そんな事をすれば、
この国、故郷から追放、いや死刑になるかもしれない。そうなれば全てがお終いだ。
真実を永遠に知る事が出来ず。騎士になる事も出来ない。一生殺人犯として生きていく事になる。それだけは勘弁だ。
出入り口付近は、捕まるだけで済むかもしれないが、外は違う!俺達見習い騎士がその領域に踏み込んだら、騎士達は間違いなく逃亡者と見なして本気で殺しに来るだろう。
それだけ外に出るという行為は、禁じられているのだ。
また、消灯後の自室からの退出は寝坊よりもペナルティが高いらしい。
どんな事をされるのか気になるが‥。
とにかく外で見つかったらお終いだな‥。
さすがの俺も数人ならまだしも、
数十人で来られたら、対応しきれず
2人ぐらい誤って切ってしまいそうだ。
だったら無駄かもしれないが、降参した方が早いか?いやでも騎士の世界にそんなの通用しない。覚悟しただろ!恐れるな!
何があっても平和の教会までは行くと心に決めただろ!
今更変更など許されない。俺は誓ったんだ!
見つからなければいいんだ!!
カインは、自分の心にそう何度も言い聞かせていた。
すごく恐れていた。もしも見つかって全てを失った時の事を、体が僅かに震えていた。
「怖いのか?でもせっかく手がかりを掴めたんだ‥嘘かもしれない‥何も無いかもしれない‥だけど‥何もしないよりはマシだ!俺は騎士‥‥カイン・B・セントリーだ!」
心地よい深夜の冷たい風が窓から入ってくる。
カインは、今の目標へと懸命に向かおうとしている。
その目は、更に元の青さを取り戻しつつあった。
カチッ時計の長針が12を指した。
作戦時間が来た。
もう迷わない‥。
カインの覚悟は揺るがない固い物になっていたのだった。
一週間に一回のペースが一ヶ月に一回の
ペースになりそうです(ーー;)
言葉が思いつかず毎日悩んでいます。
これからどうなる事やら‥‥。(ーー;)
でも頑張って書いていきます!
話が矛盾する所があるかもしれませんが
(これから出てくるかもしれません。)
そこは話が一段落した所で読み返し
直していこうと思いますm(_ _)m