Memory1 世界を見下す少年
登場人物紹介!
★カイン・B・セントリー(16歳)
セントリーブラッド共和国の次期王候補。
幼い頃から剣の練習をしており、今ではカイン
に敵う者は少ない。それほど剣の才能があり、
自分には、剣の訓練が必要ないと思っている。
この国、世界の決まりきった騎士の生活に嫌気を
差しており、この生活から抜け出したいと、いつも
思っている。王や父に世界について話してもらいた
いと思っている。目は鋭い青色で髪は黒、整った
顔をしている。
★ギーガー=スター(16歳)
カインの親友。カインと幼い頃から剣の訓練を共に
してきた数少ない人物であり、カインと違ってこの
国や世界の決まりに前向きで、真面目である。
剣の腕も相当なものであり、カインと剣の模擬戦が
出来る程である。それでもカインには、あと一歩
およばない。‥‥が、いつか勝とうと毎日努力を
している。目は青色で髪も青、凛々しい顔をして
いる。
朝日の光がいつもの様に頰を撫でる。
カイン・B・セントリーは起きたくなかった。
起きるとまた何の変化もない日常を延々と過ごす事になるからだ。
だが、このままずっと寝てるいると護衛騎士に無理矢理起こされ寝坊のペナルティーとして剣の訓練の時間を延ばされたり、剣の手入れをやらされるため
カインは仕方なく起きた。
「また‥‥朝か‥‥。」
そう言うと、時計を見た。今は朝の6時だ。剣の訓練は7時から始まる。カインは嫌々自分の机の上に置いてある朝食のパンと牛乳を飲み込む様に食べ、剣と鎧を装着して部屋を出た。
正直こんな決まりきった生活は本当に嫌だ。カインはいつも部屋を出る時こう思っていた。外では、赤と青の目を持った人々が肉や魚、その他何か分からない薬草などをこの国の金貨と交換し合っている。井戸の周りで遊んでいる子供や家の前で楽しく話している人達も目に映った。あの様に人生を過ごせたらどんなに楽しく、面白いのだろうか。あの時あのまま何処かに逃げていれば‥‥カインは、こんな事を思いながら剣の訓練場に入って行った。
訓練場に入ると騎士達が、もう既に訓練を始めていた。
「カイン!遅いぞ!もっと早く来い!」
またいつも通りのカインの友達である男の声が聞こえてきた。彼の名はギーガー=スター、カインが5歳の時から一緒に剣の訓練をしてきた親友と言うことが出来る唯一の存在である。はっきり言ってギーガー以外には親友と呼べる者はカインにはいないと自分で思っていた。そもそも一日中剣の訓練をしているので、滅多に外に出る機会が無く訓練場中もカインより年上の者達が大多数を占めていたので、人と交流をするというのが、とても少なかった。もう少し歳をとれば、定期的に休みが入れられ外に出られるというのだが、だったら今すぐに休みを入れてくれ、そしてあの子に会わせてくれ!何故あと数年待たないといけないんだ!あと、待つ理由を教えろ!
とカインは心の奥深くで叫んだ。
「ギーガー‥‥毎日毎日同じ事の繰り返しで嫌にならないのか。」
カインは剣を振りながら横で防御のイメージトレーニングをしているギーガーに言った。
「それ前にも言わなかったか?確かに辛い時もあるが、自分が日に日に強くなっていると感じるし何よりこの国を守れる騎士になれるって事に誇りを持っているよ。」
ギーガーは力強い眼差しで答えた。カインは分からなかった。なぜギーガーがここまで真面目に答えられるのか、嘘だと思ったが疑いなく迷いがない目だと人とあまり話さないカインでも分かったので、これ以上答えを追求するのは止めようと考えた。
「俺は、正直この世界の仕組みに納得する事が
出来ない。何故俺達がこの国を守るって決まっているんだ?何故親父や上級騎士は昔の事を話してくれない?」
カインは我慢出来ず、疑問に思っている事を
ギーガーに吐き出した。
「それも前に聞いた事があったような気がするが‥‥。まぁ、それは俺達が18歳になったら分かるんじゃないか?」
とギーガーは今度は剣を振る攻撃の訓練をしながら流すように言った。訓練はもう既に始まっている。訓練中は誰かと喋っては良いが、手を休めることは許されない。最初は皆喋りながら訓練をしているが、時間が経つにつれ、その喋り声もほとんど聞こえなくなる。と言うのも皆腕が疲れてきて、喋る暇など無くなり、剣を振る事しか考えられなくなるからだ。
カインはそうなる前に最後にこう言った。
「それって本当の事なのか?
俺はこの国、いやこの世界が嫌いで見下している!
この生活の何が楽しいっていうんだ!?
毎日毎日剣の訓練をして、何と戦うって
いうんだ!?敵なんているのか!?
この十数年俺は何を得たっていうんだ?何故皆は何も教えてくれないんだ!?」
疑問と、怒りに任せて大声で言ってしまったので、カインは上級騎士に目をつけられてしまった。ギーガーも驚いたのか、しばらくの間剣の振りが止まっていた。
「貴様!神聖な場で無礼だとは思わんのか!
セントリー家の人間だからと言って逃すと思うなよ!」
上級騎士は、そう言うとカインの腹に一発拳を入れた。
一瞬息が出来なくなり、カインの視界は真っ暗になっていった。
俺は何か間違えた事を言ったか?
本当の事を言っただけじゃないか‥‥。
そんな事を思いながら今日の時間が過ぎていくのだった。