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お茶会に参加しました。

 次の日は、お茶会です。


 お茶会には、侍女や護衛を連れていけるので、ブライアンも一緒なのです。

 ただし、あくまで使用人なので、隣に座って、あ~んなどはできません。

 後方に立っているだけです。

 いえ、普段もさせてはくれませんが。


 「ようこそいらっしゃってくださいましたわ」

 目の前で微笑む貴婦人は、チェザール伯爵夫人です。

 白い物が混じり始めた茶色の髪に、茶色の瞳をした、優しい初老の女性です。

 「お招きくださり、ありがとうございます」

 礼を取れば、嬉しげに目を細めてくださいます。

 数人の可愛らしいご令嬢ともご挨拶をして、歓談という名の情報交換が始まります。

 どこの令息は、どこぞの令嬢に夢中だとか、あの令嬢は態度が悪いだとか、誰がドレスをしたて、どこで宝石を買ったなど、どこで仕入れてくるのですかというような情報が飛び交います。

 すべてを覚えることはできないので、取捨選択して記憶にとどめておくのです。


 しばらく、お話していると、数人の令嬢が驚いたように入口を見ています。

 そちらに目を向けると、そこには、夫人の息子である、エヴァン=チェザールと、セオドア=エトロールが歩いてきていたのです。


 ……ええ、攻略対象者です。

 なぜこの場に?ここって、イベントだっけ?

 確か、ただの情報交換の場だったはずです。攻略対象の好きなものなどを聞いていける場として、お茶会があった気がするのですが。


 エヴァン=チェザール様は、薄い茶色の髪と目をしており、たれ目で色気をダダ漏れする男です。

 ちょっと横を見るだけで、流し目だと表現されるだろう視線を飛ばします。

 その割に、体つきはたくましく、すでに、近衛騎士として勤めていらっしゃいます。


 もう一人のセオドア=エトロール様は、黒目黒髪で、こちらは、魔術師です。稀代の魔力をお持ちだとのことで、ミステリアスな雰囲気を醸し出します。


 二人の登場に、女性たちが色めき立ちます。

 将来有望の色男二人が来れば、それは、嬉しいですよね。

 是非、攻略してください。応援させてください。


 「ああ、来てくれたのね。無理かと思っていたわ」

 チェザール夫人が、息子とその友人に声をかけます。

 「皆様、息子の、エヴァンですわ。そして、その友人のセオドア=エトロール様。

 ふふ。その様子では、知ってらっしゃるわよね。今日のお茶会に、時間があれば来るように言っておいたのよ。可愛い女の子がたくさんいらしてよ、って」

 きゃあ、と黄色い声が上がります。

 一応、私も上げておきます。一人でしらっとしていたら、目立つではないですか。

 「はじめまして。お嬢様方。お会いできて光栄です」

 たれ目が大仰な仕草でお辞儀をすれば、

 「どうも」

 隣で、簡潔すぎる挨拶をする魔術師。


 あら、何故かしら。私の隣に席が準備されて座られてしまったわ。

 通常の広さに、男性が一人はいると、狭いです。邪魔です。さらに、私を挟むようにもう一人も座らないでくださいません?私、とても狭いのですけれど?

 胸中の文句は押し隠し、にこにこと愛想だけを振りまきます。


 ブライアンを見て癒されようと思えば、ブライアンは足元をじっと見つめています。

 護衛なのだから、私を見つめていてほしいのだけれど!


 出会いイベントは、街中にショッピングに出かけて・・・だったはずなのですが、私が警戒して街に出かけなかったからですか?ゲーム補正がかかったようです。


 エヴァン様は、野心家だったはずです。

 伯爵である父は、しかし、能力を認められず、高い地位にはついていません。それを自分はもっと上を目指せると、がむしゃらに頑張っているのに、見た目で得をしていると揶揄されて、少々ねじ曲がっています。

面倒くさいタイプです。利用できるものは何でも利用すればいいのです。ヒロインに、そんなようなことを、もっと優しく言われてころりと行きます。もちろん、私は、そんなこと言うつもりは毛頭ございません。

 セオドア様は、魔力のないヒロインに、魔力を感じると、興味を持ちます。

 うん。私はすでに発現したから無関係ですね!ヒロインが、魔力のないことを弱みとして見せ、相談していく相手でした。私には、そんな悩みありませんよ。


 この二人は、攻略回避が簡単そうで何よりです。

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