とっても可愛いのです。
ブライアンは、子爵家の4男だそうです。
だから、継ぐ爵位もないので、護衛として生計を立てているのだとか。
それなら、私の婿になって、男爵を継げばいいのです。
ブライアン=コーンスターク。
神殿から派遣された護衛官。25歳。私の10歳年上です。
たくましい体つきと、武骨な顔。ほぼ無表情。
いつも、先ほどのような淡々とした話し方をします。
ブライアンは、云わばイレギュラー的存在。
私の魔力が判明したから連れてこられた存在なので、攻略対象ではないどころか、ゲームのキャラクターでもないのです。
ただ、キラキラしていなくて、傍にいると、とてもほっとする存在です。
今までだって、大好きだったけれど、あんなキラキラしい男性陣がいる場所に行くくらいなら、恥ずかしがってないで、好きな人を口説き落とした方がいいわ!と、昨日から口説いているのです。
一向になびく様子が見えませんが。
残念でなりません。
私は、男爵の父と、侍女の母のロマンスから生まれたのだそうです。
母は、私を身ごもったことがわかると、職を辞し、町で暮らすようになりました。
父は独身でしたが、母は、自分が父の足かせになることを嫌い、出ていったのです。
「結婚とか無理だし!私は平民でいい!」
と、言いながら。
けれど、捨て置けなかった父は、養育費を払い、共に私を育て・・・もう一人できちゃったので、結婚しました。
私が6歳の時です。
「2回も失敗したら、責任取るしかないわよね…」
母の深いため息を忘れることができません。それは、男性が言うことではないのでしょうか?
母は平民でしたが、すでに男爵の子を産み落とし、さらに次子まで宿しているとなれば、独身を貫いている男爵家の跡継ぎ欲しさに、結婚は認められました。
次も女の子だったため、男爵の爵位は、今のところ、私の婿が継ぐ予定です。
婿を取れなかったら(泣)妹の婿が継ぎます。
「だから、しっかりと婿を連れてこい」
「ブライアンがいるじゃない」
「まず、落としてから連れてきなさい」
「ブライアン!」
「無理です」
「返事が早い!」
お父様もブライアンも、見る目がありません。
私は、とても可愛らしい容姿をしているというのに!
「性格が残念だ」
聞こえません。
ヒロインたる私は、そんじょそこらの女の子など蹴散らすほどの愛らしい姿をしています。
ふわふわと揺れる、ピンクブロンドの髪に、グリーンの瞳。
白く透けるような肌だけれど、健康的に頬はピンクい色。
長く濃い睫に彩られた、大きな瞳と、濡れたような赤く小さな唇。
うげ、何これ。
記憶を取り戻して自分の容姿を見た時の感想です。
少女マンガかと思いました。
現実とすれば、非常に苦労しそうな容姿だなと思った次第でございます。
………………本当に、ため息しか出てきません。