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初めての

 「神使が、抱き上げて、神殿に入ったんだ。この意味が分かるか?」


 意味?何を言いたくて話し始めたのかわからなくて、ブライアンを見上げると、またもや嫌そうな顔をしたブライアンがいます。

 最近、その顔良く見ます。なんなんですか。

 むすっとしていると、あごを捕まれて、上を向かされました。

 「その無防備な格好で、男のそばにいるんだ。分かるだろう?」

 「なんですか。ブライアンが私を襲うとでも?」

 ハンッと、わざと小バカにしたようにゆがめた口が、ふさがれました。

 「この状況で、他にすることがあるか?」

 口を閉じることもできず、身動きしない私を、呆れたように眺めて、

 「レティ、あなたが治癒術を何故禁止されているかを先に話そう」

 ブライアンが諦めたようなため息を吐いて、呟くような声で、もう一度話し始めました。


 「力を使った後との自分のことは、分からないだろう。・・・仮死状態だ。起きるのかどうかも分からない」

 起きなかったことなど、ないじゃないですか。

 だからこそ、私はここにこうやって座っているのです!

 「もしかして、命を分け与えて奇跡の力を起こしているのかもしれない。寿命が削られたかどうかはさっぱり分からないからな。あなたの力は、命を削る力かもしれないからだ」

 命が削られる・・・治癒術を使うときの、どこからか忍び寄ってくる恐怖を思い出しました。

 そう、それを乗り越えて祈れば、治癒術は発動していた。

「……私が、どれだけ怖がっているのか、知っているか?」

 ブライアンの手が伸びてきて、私の両頬を包み込みました。

 急に甘くなった雰囲気に、私は何が何だか分からなくて、放心状態です。

 最初怒って冷たくて、次は温かく、今は甘い声でささやくブライアンについて行けません。

 「小さなあなたが、死んだように眠るたびに、抱きしめて一緒に寝ていたのに」

 ………。

 「はっ?」

 「起きるときは気配がするから分かる。目を開ける前にベッドから抜けていた」

 「セクハラ!」

 「言葉の意味は分からないが、そんなようなことを言われるだろうと黙っていただろう」

 何を威張っているのか分かりません!

 突然何が始まったのかが分からなくて、目を白黒させていると、ブライアンがいつもの無表情のまま言いました。


 「結婚しよう」


 「うわあ!」

 思わずブライアンの手を叩き落として、ベッドの向こう側へ逃げ込みました。

 ブライアンじゃない人がいます!あの人は誰ですかっ?

 「考えておくと言っただろう。考えて、結婚することにした。だから、神殿に抱き上げて入ってきた」

 「びっくり仰天おったまげです!」

 「……普通に驚いてくれ。今までの状態を見て、大丈夫だと判断した」

 状態ってどれ!?大丈夫って何が!?

 どうやら、ブライアンは、私がブライアンを家族として愛していたと思っていたようです。

 それを、結婚相手にしようとしても、性的な行為に及んだ際には拒絶反応が起こるだろうと思っていたとのこと。

 「この状態でアホ面さらしている女が自分を男として意識していると信じる馬鹿がどこにいる?無茶言うな」

 アホ面なんてさらしていません!無茶って何ですかっ!


 けれど、数々の(?)求婚者を切って捨て、ブライアンを一途に思う姿に、本気で男としてみているのかと理解したとのことで・・・。

 「説明されると恥ずかしい!」

 「仕方がないだろう?幼い時から側にいた10歳年上を普通、男としてみるか?」

 「そう言いながら、ブライアンは私を女としてみたんじゃないですか!幼女趣味ですか!」

 「私は、最初からあなたの教育係兼婚約者として送り込まれた」

 だから、最初からそういう目で見ていたと。

 また肩書が増えた!

 もう、意味が分かりません。

 「大体、あなたはよく寝言で男性の名前をよく口にしていた」

 「は・・・・・・?男性?」

 夢に出てくるような?ブライアンではなくて?さっぱり思いつきません。

 「グラン・・・これは、殿下か。あとはアーネスト、エヴァ、セオ・・・・・・チョロキューというのは名前じゃないよな?」

 なんとなく、思い出してむかむかしてないですかね?何故か睨み付けられているような気がするのは気のせいですね?

 やっぱり睨まれたまま、指をくいっと、自分に向けます。来いということですね。

 「大人になって、その名前の求婚者が来て、驚いていた。しかも、みんな家柄も財産も申し分ない。好きなやつがいるのかと考えるのは当たり前だ」

 いや、その面子の名前を並べるときはうなされているのですから起こしてくださいよ~!

 「まあ、それも、この間まとめて求婚を断っているのを見て違うと分かったが」

 とりあえず、呼ばれて近づいてきた私を腕の中に捕獲して、またもやため息を吐いていました。



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