いじめ?
煌びやかな光が舞っています。
楽団が美しい音色を奏で、それに操られるように、踊り、笑いあっています。
いい香りのする料理が並び、美しいカクテルが配られ。
なにもかもが、色を放って、綺麗です。
壁に背を預けて、舞い踊る色を追いかけていると、声をかけられました。
「あら、レティシア様、このようなところにいらっしゃるなんて」
男性ではありません。
えぇっと、ネルダ=イマージュ伯爵令嬢だったと思います。
その後ろに、二人ほどいらっしゃいます。
「ええ、少々疲れてしまいまして」
寂しくていらっしゃるのね?という音にならない嫌味を、さらりと躱して、軽く礼をしました。
「ふふっ」
思わぬ反応が来て、面食らってしまいました。
何故、笑うのでしょう?
「先日も、殿下をはじめ、たくさんの男性と・・・。お盛んでいらっしゃるのね」
「まあ、はしたないですわ。ネルダ様」
「そうです。レティシア様に合わせて、こちらが品性を落とす必要はないですわよ」
ほほほ…と、さざめくように笑われて、言い返すこともできずに、固まってしまいました。
……イベントが、起きている・・・・・・?
どういうこと?
気が付けば、他の方からは見えないように、囲まれていました。
「男爵風情が」
蔑む視線が降ってきて……、悪役が入れ替わったのだと、理解しました。
アルディが、動かないから、その役を他の誰かが変わったのだと。
やはり、運命は変わらないのですか?
令嬢たちは、今日はそれ以上何も言わずに、すぐに離れていきました。
私は、これからいじめられるのでしょうか。
いじめに耐えながら、やっぱり近づいて良い方々ではないと、ヒロインはヒーローたちと、距離を取ろうとします。
そこを―――
『ちょっと!聞いて!唇奪われちゃったあぁん。もう、強引なんだからあ!』
………。
強引に奪われていいものじゃない。
喜ぶな。あぁ、どこで叫んでるんだ。
帰りたいと言う感情ばかり思い出して、詳しくわかりません。
どういう経緯なのか、さっぱりです。
とりあえず、いじめに耐える私が必要、てことですね。
----却下です!




