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逆ハーってナニソレ。

 皇太子や、公爵令息、魔術師、あげくは宰相さえも手玉に取る・・・ヒロイン。

 ウハウハの逆ハー!イケメンパラダーイス!いやっほー!


 って、アホですか。


 ハッピーエンドは、もちろん、皇太子妃☆


 ……元平民の男爵令嬢にきっついわー。ないわー。


 そうそうたるメンバーから想いを寄せられ、迷いながらも、皇太子を選ぶけれど、自分を選んでもらえなくても、私にはあなた以外の女性を見ることなどできないと、全員が側近として侍ります。いやあん、困っちゃう~。


 ……どんな無能どもだ。種を残せ。自分勝手に家をつぶすな。


 逆ハーとかって、友人は浮かれていたけど、これは、悪女でしょ!?

 え、何人同時進行する気なの。ビッチですか。

 遠慮させていただいて良いでしょうか。


 このゲームは、全員を攻略してこそ、大団円の、逆ハーエンドゲームなのでした。


 あり得ません。


 ちなみに、バッドエンドは、「騙していたのか…!?」的な攻略対象者達がみんな怒っちゃって、悪女と言われ投獄されちゃうってもの。


 ……こらこら。何しちゃってんの、君たち。


 ノーマルエンドは!?ノーマルエンドプリーズ!

 『えぇ?全員攻略できないなんて、おもしろくないから、したことないわよ?』

 記憶の中の干物が何か言ってる。

 どこにぶつければいい、この怒り。


 ゲームの中でなら、キャッキャウフフでいいのだろうけれど、ここは現実なのです。

 私は、社交シーズン終了後ももちろん、生きて生活していく気でおります。当然です。

 平穏に、平和に暮らしていきたいのです。


 必要以上の権力はいりません。

 全力で拒否させていただきます。

 魑魅魍魎這いずりまくる後宮で過ごす気など毛頭ございません。



 これからの人生を想い、ちょっと意識が遠のいてしまいました。

 はっきり言って、ゲームの中のレティシアと、今の私とでは性格が全く違います。


 ゲームの中のヒロインは、よく言えば、天真爛漫な、苦労知らずの嬢ちゃんです。

 ゲームの中だからって、世の中甘く見んな。


 私は、大人の感覚を持った5歳児でしたので、学ぶことの大切さを身にしみて理解できる子どもでした。

 自分の常識と、この世界の常識が大きく違うことにも危機感を覚え、必死で勉強いたしました。

 さらに、庶子と生まれながらも、6歳で男爵家に引き取られてからは、突然の豪華な生活に驚き、この生活を享受している自分に罪悪感を抱きました。

 これってさあ、何か悪いことしてお金手に入れてんじゃね?的な。ええ、貧乏人の金持ちを妬む感情です。きっと、覚えがあることでしょう。金持ちは全て悪と感じることが…え、ない?……失礼いたしました。偏見ですよ。分かっていますよ。

 そんなわけで、その際に学んだ、貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)をしっかりと身に刻みました。上下関係大切。その身分に応じた責任を平等に背負わされているのです。

 社会人として、権利があれば、それに伴う義務があることを学んでいた経験もあったのでしょう。

 上司に逆らうべからず。平穏に過ごしたくば、長いものににぐるぐる巻きにされるのも、これまた一興。


 貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)を負った私が、勉学を疎かにするはずがありません。


 でも、今思えば、がんばりすぎたよ、私。

 前世スキルを生かし、そこらの令嬢よりは頭もいいし、できる子です。しかも可愛い。

 ヒロイン、何でもできる子で、そのスキルはありがたく思います。

 その上で、私の努力があり、とっても優秀だと自負しております。


 でも、将来、王妃?

 無理です。すみません。

 もう少し、早くゲームとのつながりを思い出しておけば、もっと手を抜いていました。

 できれば、マナーとか、淑女教育辺りを。

 この子が王妃!?無理でしょう?と言われるような、どこに出しても恥ずかしい令嬢になりたかった。


 ………それはそれで嫌ですけれど。



 そんなわけで、ゲームの中のレティシアには備わらなかった意識を、私は持っていたのです。



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