思い出しました。
はやりものを、自分でも書いてみたくて。
敬体で書き始めたのですが、後悔しています。
みなさま、初めまして。
ヒロインのレティシア=シープリズイと申します。
ヒロイン…そう、ヒロインなどと自己紹介してしまう、イタイ状態に、今の私はあるのです。
私には、前世の記憶がございまして、可愛げのないことに、5歳の時には、28歳であった、前世の記憶を少しではありますが、手に入れておりました。
突然、というわけでなく、日々の生活の中で自分に違和感を持ち、徐々に夢の中や勉学中などに思い出していった記憶でした。
私は、普通のOLでした。多分。
……そこのあたりは、あまり、鮮明ではないのです。
もっと明確に思い出せれば、様々な知識を取得できて、転生チート!オレ、TUEEE!な状況になるなど、非常に役に立ったのではないかと思うのですが、何を思ったか、記憶の一番濃い部分は、乙女ゲーム『クレッシェンド』に埋め尽くされているのでございます。
このゲームをプレイしたことはありません。
友人が、「この年になって、ゲームにはまるなんて、とか思う?思うよね。でもでも、聞いて!話したいけど、聞いてくれる人がいないの!パッケージ買いしてしまったんだけど、これ見て、すごくない?格好良いでしょ?ちょ、待ってってば!お願い!このゲームのすばらしさを語り尽くしたいのよおおぉ!」と、のべつまくなしに何時間にも渡って語り尽くし、ゲームの進捗状況を逐一報告いただいたせいで、ものすごく詳しくなってしまったのです。
あの残念乾物女め。
そして、この世界に生まれ落ちてから、度々感じる既視感。
話に聞いただけの世界が目の前で繰り広げられる違和感。
その違和感が解消された日。
社交シーズンの始まりの日でした。
今日、デビュタントを迎えた私たちに、皇太子殿下が挨拶をしている姿を見て、記憶と現実がつながりました。
キラキラしいイケメンな顔を見つめ、なあんか、見たことあるなあと感じて、どこでだっけ~などと、呑気に思考を巡らせていたとき、天啓のように思い出したのです。
ここは、ゲームの中の世界でした。
どうやら、私は、複数の男性(攻略対象者達)から、溺愛されるヒロインであるようなのです。
……いや、そんなの無理だし。
そんな記憶が蘇って、気分と頭が腹痛だと言って別室に引きこもっていました。
迎えに来たお父様から、仮病を使うなと怒られました。
なぜばれたのか、さっぱり分かりません。
その日は、今更会場に出ていったら、明らかな嘘をさらに真っ赤に染め上げるだけだから、このまま引きこもっていいと言われましたので、他の登場人物との接触は避けられました。
ただし、次からは許さないと言われました。
明日はばれないように仮病になりますと言っても、お前には無理だとしか言ってくれません。
どうしてばれるのでしょう?残念でなりません。