プロローグ
「3月3日午後11時4分 ご臨終です。」
よくドラマで見る光景が自分の前に広がる。
ベッドと医療器具しかない真っ白な部屋、白衣着た名も知らない医師、泣きじゃくる母親。
そして妹の見るも無残な姿
「美咲……」
俺は言葉を失った
* * *
血にまみれた現場にてふてぶてしい男が煙草を吸いながら部下に聞く
「死因は?」
「腹部を刺された後、頭部を強打緊急治療をうけるもまもなく死亡」
「犯人の手掛かりは」
「それがさっぱりでして……」
「ふむ……」
* * *
妹の死後数日は犯人不明の殺人事件ということもあり家の周りが騒がしかった
母親は俺がもうすぐで高校入学ということもあり自分のことをやりなさいと言っていたがそんな気分にはどうにもなれなかったただそれは妹が死んだことによるものではなくてなにか変な違和感であった
妹の死が信じられなかったのかもしれない不思議と妹の死後から俺の目から涙が流れることはなかった
* * *
4月になり周りに静けさが戻る妹の存在が世の中から風化していくのを感じた。
「いってきます」
今日は入学式、慣れないブレザーを来ていつもと違う道を行く周りを歩く学生の目は高校生活への期待に輝いていた。
しかし俺の目は未だに曇ったままだった
形式的な入学式と教室での自己紹介を終え、今日は終わった。
放課後、友人を作ろうとする奴や一目散に帰る奴みんなそれぞれだった。俺は後者だった
帰宅し母親と少しの会話をした後自分の部屋のドアを開ける。
「おかえり、清隆」
目の前にはよく漫画で見たような幽霊の姿をした妹がいた。
1話は近日中にUPします
よろしくお願いします!