表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/29

シーン1!

 読者の皆様、ギリシャ神話に出てくるキューピッドはご存じだろうか。

 というか、この味もそっけない世界のど真ん中でロマンチスト名乗りたいならキューピッドぐらいは知らなければ損、というものだ。

 愛を知らない人の為に解説しておくが、キューピッドというのは小さくて、裸体に羽をつけた、弓を構えながら頭の上をふわふわ飛んでいる天使の事だ。

人間界の言語によって呼び名は「クピードー」になったり、「クピド」になったりと様々だが、やはり一番ポピュラーな「キューピッド」が一番しっくりくる。

 しかも、伝説の中では、スパッと心を打ち抜けばどんなツンでもたちまちデレデレになるという金の矢の持ち主であり、思春期の男子には夢のような存在だ。

 でもまあ、今の現実で「あなたは私の愛のキューピッドよ!」と言われたら「あなたの事は好きじゃなかったけど、彼氏みたいな人と出会わせてくれて、まあ一応感謝してるわ」程度に解釈されるもの。

それほど、キューピッドは軽視される存在となった。

悲しいかな。


 という訳で、俺はキューピッドだ。

 名前はアモル。スペインとか言う人間界の土地で「愛」という意味を持っているらしい。

 恩寵に満ちた俺に似合っている名前だと、つくづく思う。

 ここまでかなり唐突なカミングアウトだが、事実だから受け入れてくれ。

 ここではナレーターとして扱ってくれればそれでいい。

 でも、流石にキューピッドの俺がここでナレーターになっているのにも理由は有る。簡潔に言えば、本当にくだらないほどヒョンとした事で人間界送りになったからなのだが、決して俺が金の矢を人間界で乱れうちして、不純異性交遊の起因となってしまった、みたいなヘマをしたとかじゃない。

 実際は上司であり、かの有名な愛の女神であるエロース様のきまぐれが九割、俺の運の悪さが一割と言ったところだ。

 話によれば人間の愛に対する扱いというものが雑になったかららしい。

 正直俺はよくわからん。

 愛のキューピッドだが、人間の愛なんぞ、知ったものかと、かつてまで思っていたものだ。

 俺の関心は人間の体への変身と、女体の鑑賞。

 それだけである。

 そのため、無償で人間界に送り込まれようとしていた俺は、エロース様と駆け引きをして何とかして男の体を手に入れた。

 というか、泣き落としだ。

 俺はエロース様に泣いてすがった。

 情けない?

 ほっとけ。

 夢に見た人間の体になれる。その為には、いくら泣いても泣き足りない位だ。

 絶景の美人とトキメキを分かち合う…… なんとも極上のパラダイスだ。

 確かに人間界に着いた時点でちっこい裸体では無く、まあまあイケメンの男子に転生した。

 長身で、金髪? なんか今風じゃん! ちょっと痩せ体質で筋肉も上々だし。

 服装もなかなかセンス良いし。

 俺自信が見えれば、今やそんじゅうそこらのネットアイドルよりかは遥かにモテモテのなはずなのだ。

 もう愛でたくてたまらないほど可愛い萌女から、見る者がうっとりするほど美々しいお姉さんたち、すべての視線が俺に集まるというのに! ああ、なんて勿体ないんだ!

 しかし、もう少しばかりの辛抱だ。

 エロース様が送ってくるというターゲットを見つけたら、優しくカツアゲでもして、どんどん女性を紹介してもらおう。うん、そうしよう。

 しかしまあ、理不尽なキューピッドだと思われるかもしれないが、一言で恋愛劇と言われても、何をするか、さっぱりわからない。

 作文で 「なんでもいいから、自由に論じなさい」 っていう課題が出たような感じだ。あの自由さが引き出す寂寥感は半端じゃない。

 本来ならキューピッドの金の矢でターゲットが片思いでもしている女性を 「スパッ」 っと打ち抜いて、夕方の海をバックに、晴れて二人は両想いになりましたよー、パチパチパチ。みたいな王道ハッピーエンドで締めくくれば無難にロマンチックだし、エロース様から合格点ぐらいは貰えるから、基本的には難しくはないはずなのだ。

 まあ、なぜこんな話をするのかというのも、俺にはキューピッド的に恥ずかしい欠点があって。

 うーん、なんというかな。

 大丈夫……だよな? ここで言っても?

 誰も、チクらないでね?

 約束だよ?

 針千本飲ますよ?

 ……こほん。


 俺、アモルは金の矢が使えない。


 ん? ああ。

 いや、みな言わずともわかるぞ。一応俺も自覚しているんだ。

 金の矢を使えないキューピッドなんてな、最早バームクーヘンの穴のような存在でしかないということは俺もとっくに気づいているのだ。

 事情は勿論ある。金の矢を使えるのは心が潔く正しいキューピッドじゃないと無理らしい。確かに外道のキューピッドにそんな権限を与えたら、どんなことをしでかすかわからない。

 しかし、そういう観点から行くと、俺の心は汚れている方に入るのだが、もう承知の上であるので、最早傷心したりはしない。

 だからと言って、俺がただ人から見えない、無能で、透明人間同然の変態キューピッド、ってわけじゃない。

 世間ではあまり知られてないが、キューピッドが持っているもう一つの矢は使える。


 それは鉛の矢。


 相手にどんなにデレられても、もう好きになれなくすることが出来る矢だ。

 だが、本当のところ、この矢、キューピッドはあまり使用しない。

 人を幸せにするのが目的の天使だ。こんなに野蛮なツール使う訳ないだろ。

 だからもし読者が告白の後、好きな人に振られたとしても、俺たちを責めないでくれ。責任はおそらく読者の心の中にある。

 もしくは容姿だ。もっとイケメン、または美少女になってくれ。

 しかしながら、今の俺にはこれを使って素晴らしい、心温まる、「ロメオとジュリエット」的な、ハーレクイン的な愛物語を作る意外に、最早選択肢はない。

 じゃなければ俺は帰れない。


 これは俺が帰るために、俺が自身がプロデュースした愛物語だ。

どーも、はるまきです!

もし初めての人には、初めまして!

そんなこんなで、新しく小説を立ち上げました!

今回のモットーは「女性にも、男性にも楽しんでいただけて、共感していただけるラブコメ!」です。

是非次も読んでいってくださいね!

よろしければ感想や評価を頂ければ幸いです!

はるまきでした!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ