16/20
外に戻る
現実の光が、少しずつ心を浸す。
建物の外に出ると、昼の光が眩しい。
空気は柔らかく、少し温かい。
風が髪を揺らし、街の音が耳に届く。
一歩、歩く。
また一歩。
歩くたびに、胸の奥の痛みが少しずつ和らいでいく気がする。
思い出す。
昨日までの悲しみ。
でも、同時に、小さな温かさも蘇る。
笑った顔、冗談を言って怒った顔――
どれも、胸に残っている。
道を進みながら、深呼吸をする。
歩くこと、前に進むこと、
それが今の自分の現実だと、少しずつ受け入れる。
涙はまだ出ない。
でも、歩き出すことで、
悲しみと共に生きる覚悟が、胸に生まれた。
外の光が、街を照らす。
世界は変わらない。
でも、私の心は、確かに動き始めている。




