王の帰還
油断大敵だ。ハッチ王女の毒を喰らったそれがしは体が痺れて身動きできず落下するしかなかった。声も上げられない。
死を覚悟しているとやさしい声が天から降ってくる。
「もうだいじょうぶだよ」
体が持ち上げられてふわりと軽くなる。苦しかった呼吸も楽になった。
見覚えのある青い髪と青い瞳が眼前にある。髪型と服は違うが間違いなくアゲハ王女だッ!
アゲハ王女にお姫様抱っこされてうれしい気持ちと恥ずかしさが入り混じる。
「アゲハ様ッ!生きていらしたのですねッ!」
「うん。心配かけたね」
「本当によかった・・・」
それがしは抱きついて涙を流す。少し時間をおいてアゲハ王女は微笑む。
「まだやらなきゃいけないことがあるからもう行くね。キチョウは西軍のみんなにわたしが生きていたことを伝えて撤退命令を出して」
「はいッ!かしこまりましたッ!でもそれがしは毒で動けないのでありますッ!」
「動けてるよ?」
「あっ!」
そういえばしゃべることもできてる。なぜだ?神の奇跡?
「手を離すね」
アゲハ王女はそっと手を離した。それがしは平気で飛べる。
「ビシッ!すぐに全軍を撤退させますッ!おまかせあれッ!」
貝役のもとにすっ飛んでいく。アゲハ王女が生きていたことが戦場に伝われば味方の士気は爆上がり敵軍を押し返せるかもしれないのに撤退とはげせぬ。一度引いて西軍を再び立て直すおつもりなのだろうか。アゲハ王女さえ復活すれば東軍など木っ端微塵に粉砕できる。それがしのテンションは爆上がった。




