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ムシ娘  作者: こたつぬま
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美しい花には棘がある

ハロー。わたしはハチ族の誇る美少女天才槍使い王女ハッチよ。

アゲハ王女がおっんでから1ヶ月が経過したわ。

アゲハの死を祝って祝宴会を開いた数日後には、アゲハが死んだショックから抜け出せずまだ戦力を回復しきれていない西軍をなぶり殺しにするために侵攻したんだけど、意外に西軍はねばる。アゲハのクビがないから戦死は偽情報だと騒ぎ、アゲハが帰還するまで全軍で耐え抜く覚悟のようだ。あのケガで生きてるわけないのにね。

東軍総大将であるわたしは一匹で上空から東軍の戦闘を見回っていた。

あたしは強いから護衛はいらないの。

我が配下のコオロギ軍が西軍のクワガタ軍と激しく戦っている。ロギー王女はカンフー姿でヌンチャクを振り回してモブ兵を圧倒していた。クワコ王女が登場して王女同士の一騎打ちがはじまる。

ヌンチャクをかっこよく構えたロギーが「あちょ〜!」とクワコに飛びかかる。クワコはいつも通り困った顔で応戦していた。タイマンなら助太刀できないわね。水を刺すわけにはいかない。

他の戦場に行く。味方のキリギリス軍がアリ軍と戦っていた。こちらも王女同士の一騎打ちだ。

アラビア風ベリーダンス衣装に身を包んだギリス王女がシャムシールでアリンコ王女を攻撃している。踊るような動きにアリンコは防戦一方で苦戦していた。くそ真面目なアリ族と遊び好きなキリギリス族ならギリスに軍配が上がりそうだ。戦闘は臨機応変の柔軟性が大事なのよ。

じょじょに西軍の戦力は削っているし、この調子ならあと3日以内に決着かな。妖精王になって花のドレスを着ている自分の姿を想像してうっとりしていると、飛んでくる妖精の影が見えた。

黄色い羽。

チョウ軍の副大将キチョウだ。

「ハッチ王女ッ!キサマの相手はそれがしだッ!」

オレンジ色の剣で斬りかかってくる。わたしはかわして槍を突く。キチョウはひらりと舞ってかわす。

槍と剣で壮絶なバトルが開始される。

この子、運動神経いいし、けっこう強いのよね。副大将を任せられるだけの実力はあるわ。でもアゲハには遠く及ばないわ。100連突きを繰り出すとキチョウの羽に穴が空いた。穴だらけにして差し上げるわ。

気持ちよく突きを繰り出しているとガシっと槍をつかまれる。キチョウはニヤリと笑う。

「99突き目はさすがにスピードが落ちるようだな」

「あら数えてたの?ひまなのね」

「死ねッ!」

キチョウの手には剣ではなくオレンジ色の銃身と持ち手がグリーン色のピストル握られていた。武器は祈れば変化させられる。得意な武器を使う種族が多いので変化は見たことがない。

花の実の銃弾が額に向かって放たれる。昆虫は頑丈だし花の銃は威力が低いけど至近距離なら死ねる。

あたしは槍から手を離し両手で額を守る。いった〜い!でもなんとか受け止めた。上にした左手は銃弾が貫通して血が出てる。キチョウは無手のわたしにピストルを打ちまくる。よけたけど何発か当たった。

痛いってばさ!

銃弾を撃ち尽くしたキチョウが予備の花をポケットから取り出したところを襲う。花を取り出して武器にするには1秒かかる。1秒あれば仕留められるわ。あたしは正面から特攻してキチョウの首筋に人差し指の爪を刺した。

すぐに離れる。

キチョウは刺された首を抑えて驚愕した。

「スズメバチだったのか」

「残念賞。ミツバチよ」

わたしは肩をすくめる。奥の手を使っちゃった。ハチ族には毒持ちとそうでないのがいる。わたしはいままでどんなピンチでも一度も毒針を使ってない。毒針といっても爪に毒を作れるだけで1匹殺す程度の毒しか作れない。

アゲハはすきがなくて使えなかったけど、この子には使えたわ。まだまだね。わたしが武器を捨てたから油断したんでしょう。自分が予備の花を取り出した時、わたしも予備の花を取り出して槍に変えると思ったら素手で特攻してきたからびっくりしていた。戦闘は駆け引きが大事なのよ。自分がそうするからって相手も同じように動くわけじゃない。1日24時間戦うことばかり考えている戦闘狂じゃないとわたしには勝てないわよ。アゲハのようなね。

毒が回って落下していくキチョウにバイバイと笑顔で手を振る。下の川でヒル軍とアメンボ軍がもみくちゃに争っている。医療部隊の僧侶は後方だろうし、こりゃ完全にゲームオーバーね。

予備の花を取り出して槍に変える。あとで花を補充しておこう。落下して戦場の波に飲み込まれるキチョウを最後まで見ようと眺めていると、横から飛んできた何者かがキチョウをキャッチした。

すごい速さね。目がぱちくりしちゃう。

スピードでは妖精界1を誇るわたしといい勝負じゃないかしら。

わたしは嫌な予感がして背筋が寒くなった。







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