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ゴブリンのリーダーは、ゴブリンの集落で、かなり頼りになる存在だった。
そんなゴブリンのリーダーたちが帰ってこない。
ゴブリンの集落の長であるホブゴブリンは、危険を感じつつ、警戒を強めた。
その結果、しばらく、ゴブリンのリーダーたちが、獲物を取りに行っていた区域への立ち入りは禁止された。
ゴブリンが立ち寄らなくなったことで、ゴブリンを餌とするオークや山狼などもこの周辺に近寄らなくなったことは、ダンジョンにとって嬉しいことだろう。
この均衡は、そう長くは続かないかもしれないが、束の間の休息は、ダンジョンが強くなるには都合の良い時間と言えるはずだ。
5日目の朝は最悪だった。
穴の底で、騒ぐゴブリンが、俺を起こす。
全身も痛い。
とりあえず、マナでポーションを作る。
味も美味しいとは言えないそれを飲み込むと体は段々と楽になった。
周りには、心配そうに石のお化け植木鉢たちが待機していた。
閃光鳥もまだ、羽を痛めていて飛べないのか近くにいた。
閃光鳥にも、さらにポーションを使う。
ポーションは、時間を置かないと使えないらしいのだが、十分時間も開けたので効くだろう。
しかし、閃光鳥は飛べるようには回復しなかった。
閃光鳥は、もうこれ以上回復出来ないようだ。
閃光鳥を抱えて、ダンジョンの奥に戻る。
今回は、閃光鳥がいなければおそらく全滅かボロボロまでやられていた。
だからこそ、閃光鳥をなんとか回復させてやりたい。
残ったマナで、出来ることは、回復系統の魔法を使えるモンスターを生むことなのだが、残念ながらそう上手くはいかないようだ。
回復はずいぶん敷居が高いようで、マナが全然足りない。
イビルシード改め、イビルプラントも心配そうだ。
閃光鳥が進化すれば、もしかしたら、また飛べるまで回復するかもしれない。
放置しているゴブリンを倒してしまおう。
これが一番てっとりばやい。
俺は、マナをだいぶしっかり使って切れ味のいい剣を作る。
元棍棒ゴブリンは、油断して寝ている。
俺は、元棍棒ゴブリンを一突きで倒した。
意外な決着だが、夜中ずっと騒いでいたゴブリンは、体力も無くなっていたので、楽な仕事だった。
俺と閃光鳥と石のお化け植木鉢は、しっかりマナが行き渡る。
残念ながら、閃光鳥は飛べるようになるまでは回復しなかった。
石のお化け植木鉢たちは、それぞれ、植木鉢の形が変わった。
個性が出たのかもしれない。
閃光鳥は、申し訳なさそうにこちらを見ている。
まあ、いいか。
気長に行こう。
ゴブリンの亡骸は、しっかり、吸収しておく。
ここで、嬉しい誤算があった。
ゴブリンのリーダーの気配察知というスキルのスキルオーブを手に入れたのだ。
俺は、気配察知のスキルを閃光鳥に渡す。
閃光鳥は、困ったように拒絶したが、俺は閃光鳥に押し付けた。
気配察知のスキルの練習しとくんだぞ。
すぐに回復して、使い倒してやるからな。
閃光鳥に、そんな、ちょっとしたプレッシャーをかける。
閃光鳥は、どうやら、やる気になったらしく、望むところだ!と言った感じで、精神力を使って気配察知を使い始めた。
しばらくして。
気配察知と閃光鳥の相性が良かったからか、それとも、気合が入ったのが良かったのか、精神力を使ったのが良かったのかはたまた、全部関係しているのか。
閃光鳥は、気づいたら、進化していた。
イナビカリ。
8段階の格で、前と変わらないくらいの格のモンスター。
普段の飛ぶスピードは、遅いが、瞬間的な速さは、閃光鳥よりすごい。
そんな進化だった。
怪我さえなければ、8段階のさらに上の段階に進化できたかもしれないが、こればかりは仕方のないことだ。
イナビカリは、しっかり力強く飛びつつ、緩急つけて速度を速めたり、遅くしたりを器用に行っている。
普通のイナビカリでは、こんな飛び方は出来ないはずなんだが、おそらく閃光鳥の器用さも受け継いでいるのかもしれない。
無理しないようにと注意だけしておく。
本当は、偶然じゃなくしっかり、なんとかしてやりたかったんだけどな。
水スライムが、俺を慰めるようにポヨンとぶつかってきたので、つついてやった。




