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美少女にTSしてはや数年。高嶺の花だった幼馴染が脈ありらしいので落としにいったら逆に言いなりになってました。  作者: 荒三水


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16/40

16 ⋯⋯はあ。

「ああ、このクラスだったんだ! 探しちゃったよ!」


 男子生徒は馴れ馴れしい口ぶりだけど、こんな人知らない。

 

「えっと……誰?」

「ほらオレだよオレ~。オレオレ!」


 オレオレ詐欺に捕まるとはついてない。

 しかし面と向かって自分の顔を指さしてオレオレ詐欺とは手法が斬新すぎる。


「いやあの、知らない……」

「えー!? きのうPK勝負したじゃん!」

「あー……?」


 そういえばそんなこともあったような。

 名前も顔も何もかも覚えていない。あのときはNTRモードでいろいろどうでもよくなっていたから。


「あのあといつの間にかいなくなってたからさー。めっちゃ探したんだよ」

「はあ……それで?」

「オレが負けてさ、何でも命令一つ聞くってなってたじゃん」


 どういう流れでそうなったか覚えてない。

 そもそもなんでPK勝負なんてしたのか今となっては謎だ。相当脳がキてたらしい。 


「べつに命令とかないんで。もういいっす」

「いやいやそういうわけにはいかないでしょ。勝負したんだから」

「じゃあ百万円ください」

「いやぁ、それはさすがにきついな~あはは!」


 珍しくあたしのギャグがウケてる。一体なにがおもろいのか。

 だるいし適当にあしらって追い払おう。


「そうそう、びっくりしたマジで!」

「えへへ、そう~?」


 隣で莉音がもう一人の男子生徒となにやら楽しそうにしゃべっている。

 にこにこと愛嬌を振りまく莉音に、男子生徒は早くもでれでれと頬を緩めている。


 この人らはこれで一応先輩らしい。さすが莉音は取り入るのうまい。

 かたやあたしは冷えた能面のような顔。

 これでは未優のことを笑えない。


「じゃあとりあえずさ、飲み物とかおごるよ!」


 いやいらねぇからさっさと帰ってどうぞ。

 と口から出かけたが、かわいい女の子は先輩男子相手にイキり倒したりしない。きっと未優にバツを食らう。

 

 少しは莉音なんかを見習わないといけないかもしれない。 

 それっぽくやってみる。


「え~でも、そんないいですよぉべつに」

「全然いいよ! じゃあ今から購買のとこ行こうよ!」


 やだこの人話通じない。

 なんだかんだで一緒に飲み物を買いに行く流れになってしまった。

「じゃあたしファンタオレンジね」と先輩をパシらせるのはよくないだろうし。


「真宮さんってさ、サッカーやってたの?」

「野球もやってたっしょ?」


 気づけば二人にはさまれて廊下を歩いていた。両側から質問攻めを受ける。

 もう片方の短髪ツーブロックくんは野球部の人らしい。きのう練習に乱入したのは覚えてるけど、人の顔までは覚えてない。

 

「まあ、ちょっとですけど……」

「そうなんだ? すごいセンスあるよ」


 スーパー美少女のあたしは運動神経バツグンである。

 もともと運動は得意な方ではあった。

 男のときからか◯はめ波を撃てるようになりたかったあたしは、さらに独自の秘密特訓を行っていた。

 怪しい気功の本とか動画とかを見て真似ていた。呼吸法とか、瞑想とか。

 

 体のバランスがいいとか、ここ一番の集中力が高いとか、そんなふうに言われていた。

 この体になって、さらに身体感覚に磨きがかかったように思う。  

 中学の時はいろんな部に入ってみては辞めて、みたいなことを繰り返していた。


 そしてだいたいわかった。

 運動は好きだけど、集団行動が苦手らしい。

 先輩の言うことは聞けよ的な、体育会系なノリが苦手らしい。

 

 だから結局、今も部活には入ってない。

 今は運動部より漫画研究会が気になっている。

 

「真宮さんって、何が好きなの?」

「んーマンガとかですかねー?」

「ゲームとかやる?」

「めっちゃやりますー」

「えーどんなのやるの?」


 歩きながら質問攻めは続く。

 二人して負けじと俺が俺がみたいに聞いてくる。

 そして目が合うたびキランって笑うのやめてもらっていいかな。吹き出しそうになるから。


 あとその目線がちらちら顔見たり体見たり行ったりきたりするのが気になる。

 あ、今こいつおっぱい見たなとか、意外にわかるものらしい。

 

「だからさぁ、マネージャーやらない? 先輩が一人もう辞めちゃうからさ」

「いやいやサッカーより野球でしょ? ねえ」

 

 昨日も誘われたけどしつこい。

 自分が試合とかするわけでもないのに無償労働するって、けっこう大変だと思うんだけど。


 ああいうのやる子って、部員に意中の男子がいるとか彼氏がいるとかそういうことじゃないのか。さすがにそれは偏見か。



「えっと、M活のお手当はいかほどで?」

「……はい?」


 ボケが通じない。

 みゆたんなら「P活みたいに言うな」ってつっこんでくれるのに。


「マネージャーって時給いくらですかぁ?」

「時給? あはは、面白いこと言うね」


 未優だったらスルーしてきそうなのがガンガン笑い取れる。

 なにを言ってもリアクション大きくちやほやされる。これはぬるま湯でダメになる。

 

「べつに暇なときにちょっと手伝ってくれるでもいいからさ。オレ、今年部長になるし、融通きかせられるよ。時給は出せないけど、頑張ったらイイコイイコしてあげる」

「えーやだキモーイ」

「あははは」

 

 いやあははじゃなくてまじでキモいぞ。

 大丈夫かこんなのが部長で。

 

「とりあえずさ、連絡先教えといてくれる?」

「あースマホ、教室においてきちゃったんでぇ……」

「じゃああとであとで」


 めっちゃぐいぐいくる。

 一週間後にはベッドに連れ込まれてそうな勢いだ。


「実はオレ、前から何回かみさきちゃん見かけたことあってさー。めっちゃかわいいなって思ってて~」

「あ、それ俺も俺も!」

「なんだよお前、真似すんなよ」


 急にみさきちゃんって呼ばれるとなんかぞわってくる。

 みゆたんにかわいいって言われると「はぅんっ」て感じだけど、男に言われると「……はあ」って感じ。

 

「ガチで美少女って感じだよね」

「ほんまそれな」


 ……はあ。


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