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悪筆の君が王宮文官になる方法  作者: メジロ
第一部 ジャネット十二才・フィル八才
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3


ひっつき虫のフィルへ


お返事を待たずにもう一通書くことにしました。だって話したいことがたくさんあるんだもの。


前回のお手紙をポストにとうかんした帰りに、右のおとなりのおうちにネコが二匹いるのを見つけました。まどべで日向ぼっこをしていて、かわいかったなぁ。毛なみがつやつやでね、首にリボンをまいてたわ。リボンはエルザが宝物にしている、あのキャンディのリボンみたいなやつよ。

でもね、そのネコって、あなたの牧場にもいるネコ、ジャックとロン、それとルーン、ギャリー、ミミ(これでぜんぶよね?)たちみたいにネズミをとるって感じじゃなかったわ。それこそ、エルザのお気に入りの本に出てくるおうじょさまって感じ。あんなにきれいなら、もしかしたらマホウネコなのかもね。

そうそう、左のおとなりのおうちのお庭が、まるで絵本の中のお庭みたいだったのよ。フェアリーやおうじさまとおひめさまが、アフタヌーンティーをしてそうなの。せいれいじゅつしならきっとフェアリーが見えていたでしょうね。

今度、しゃえいきで写真をとってもいいか聞いてあげる。いいよって言ってもらったら、写真を手紙につけてあげるわ。ネコとお庭どっちもよ。きっとびっくりするわよ。


部屋のかたづけがようやく終わりそう。あたしの部屋だけね。このあとはパパの部屋とキッチンをゆうせん的にかたづけて、ダイニングやバスルームをきれいにするつもり。


キッチンがかたづかないからお料理できないの。引っこしてから近所のしょくどうばっかり。でも、いちばのしゅみはかなりいいセンスしてると思う。朝ごはんにぴったりのベーグルを売ってるベーカリーも見つけちゃった。

パパが言うには、パパの大学の近くにはおいしいお店がたくさんあるんだって。パパのお仕事についていったら、お店に連れて行ってもらえるかしら。あなたもいっしょに行けたらいいのに。


昨日はパパが大学に行ったわ。地方での調べものがひとだんらくついて、今度はけんきゅうしつでろんぶんを書くんですって。しばらくてんきんはないそうよ。

はっきり言って、がっかり。バンドーの近くにてんきんになったら、フィルに会いに行けるのに……。


どんなにきれいなものを見ても、おいしいものを食べても、あなたと牧場のことばっかり考えちゃう。

あーあ。パパのまこうせき学とちしつ学の調べものが終わらなければよかったのに。


じゃあね。


とてもさみしいジャネットより


PS。牧場にあたしの麦わら帽子忘れてきちゃったみたい。たぶん、なやにあると思うの。ほら、最後に馬に乗せてもらった時になやに寄ったでしょ、きっとその時においてきちゃったのね。

今度会うときにわたしてもらおうかなぁ。それまで大事にとっておいてね、おねがいよ。


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