物語の創造者
『ジュリエ、お前をこの家から追放する!!』
と私は父親に家を追い出された
この世界では十歳になるとスキルが発現する。
スキルは一人につき一つまで
発現するスキルによって人生が決まるといっても過言ではない
今日、私は十歳の誕生日を迎えスキルが発現した
私は貴族の生まれで、父はとても強いスキルを持っていた。当然私にも期待をしていたらしい
神殿で調べて分かったスキルを見て父は私に失望した。
私が発現したスキルは【物語創造】
物語を作るだけの能力だった
屋敷に帰ると父に私は居ない者とされてしまった。
一週間後私は父の部屋に呼ばれた
そこには私と変わらない年の一人の少女がいた
その女の子は強力なスキルを発現させたらしく養子に引き取ったそうだ
私が呼ばれた理由は私を追放するためだった……。
「私はこれからどうしたら?」
私はそのまま何も持たされず
魔物のいる森へと送られてしまう
あるのは今着ているドレスと身に付けていたお母さんの形見のネックレスだけ
私は薄暗い夜の森の中を歩いていた
「私が魔物に殺されることに期待してるんだろうな」
親は子供を道具としてしか思っていなかったのだろう
お母さんが死んでからあの人は変わった
私をあてもなく森をさ迷う
私のスキルは役に立たないどうすれば
すると近くで何かが動く音がした
「なに?」
何かがいる
魔物だった時は私は殺される
私は無力だ
私は魔物では無いことを祈る
その直後私に凄い衝撃が襲う
そして私は三メートル先に吹き飛ばされる
「痛っ」
木にぶつかり止まる
骨が折れた気がする
何に吹き飛ばされた?
私は周囲見渡す
私の目の前にひかる二つの眼光、
そこにはブラックベアという熊の魔物がいた
何で
一番最悪のパターンを私は引いてしまったみたい
その大きい体は三メートルにも及び
非常に凶暴
Cランクの魔物に指定されている
私は神に見放されたようだ
私の身体は吹き飛ばされた衝撃であちこち骨が折れている
血も沢山出ている
身体が動かせない
逃げることすらできない
どうしたら逃げられる?
私は頭をフルに使って考える
私までの距離がもう二メートルと少ししかない
熊はゆっくりと近づいてきている
このまま死んでしまえば親の思惑通りになってしまう
それだけは絶対嫌!!
私は一か八かスキルを使う
お願い
「物語創造」
私はスキルを発動させる
すると私の目の前に一冊の本が現れる
ああ だめなのか
《物語を創りますか?》
そんな文面が出てくる
どうしたら
熊までの距離が一メートルしかない
私は諦めた思いで物語を創る
私は”目の前の熊がこの後、雷に打たれて死ぬ”という物語を
私の都合の良いように創りだす
私はスキルに向かってそう念じる
すると思い描いた物語が
本に記されていく
凄い
私は素直にそう思った
すると本が輝きだした
その直後
ドカッカーン!!と
目の前のその魔物に向かって雷が墜ちた
私は目を開けるとそこには黒焦げになって死んでいる
ブラックベアの姿があった
「えっ」
私は驚いてしまう
だって
「私が創った物語の通りになった?」
私は数秒間ポカンとしてしまう
その時の表情はとても凄かったと思う
「これが私のスキルの力」
私のスキルはただ物語を作れるのではなく
創り出した物語をその通りの事象に変えること
「私は助かった?」
私は全身の力が抜ける
死なないですんだ
助かって良かった
傷がひどく
今の私は動くことが出来ない
また違う魔物が来るかもしれない
血を流しているため
私の意識が朦朧としてくる
どうしたら
そうだ
気力を振り絞り私はスキルを発動させる
”たまたま近くに通りかかった冒険者が私を見つけて助けてくれる”
そう思い描く
本にそのままそう記されていく
本が光輝く
私の力が本物なら私は助かる
もし助かったなら自由に生きてみたいな
私だけの
私の物語を
創ってみたいな
こんなところにブラックベアが死んでいる?
行ってみよう
声が聞こえてくる
誰かいる
あの大丈夫?!
誰かが私に声をかけてきた
ああ 誰かが来てくれたのか
――――ひどいきず
――――――はやくたすけないと
そこで私の意識は途切れてしまう…
私は昔の夢を見ていた
幼い頃によくお母さんに絵本を読んでもらっていた
私はお母さんの読んでくれる物語が大好きだった
いつかは自分だけの物語を創ってみたいなと
そう思うようになったんだ
それが私の夢
今まで忘れていた
― ― ―
一人の女性がそう呟く
「精霊が騒がしい」
「向こうで雷が落ちた」
黒髪の女性が返事をする
「どうかした?」
「向こうに行ってみよう」
「何かあるの?」
私はうなずく
「あなたが言うなら間違いないね」
「行こう」
二人の女性は森の中を駆け抜ける
しばらく走り続けると
何かが焦げた臭いがする
「あそこに」
私は指を指す
「ブラックベア?」
「違うもう少し奥」
私たちの目に映っているのは
焦げて死んでいるブラックベアと
木にもたれ掛かって今にも死にそうな少女だった
「誰かいる!」
「大丈夫?!」
「ひどい傷」
「早く助けないと」
「ボーション持ってる?」
「今すぐこの子に使ってあげて」
傷だらけの少女にポーションをかける
少しずつ傷が治っていく
よかった
私は優しくこの子を抱き上げる
「何でこんな場所に小さい子が」
「かわいそう痛かったよね」
黒髪の女性がそっと撫でる
そして
「早く帰りましょう」
「これはどうする?」
二人が短い会話を挟み
夜の暗闇に消えていく……………………。
適当に作りました
この話が良い感じだったら
連載もしていきたいなと思います