4.試験続行
試験会場となった専修学校では、鉛筆を走らせる音が静かに……だが、神経をすり減らすような感情をこめて木霊している。
俺は頭痛が痛い。
クソのような重ね言葉でしか、俺の心境を表現できねぇ。
朝からガンガン頭痛がするのだ。
だが問題自体はたやすい。
額に手を添えながら、淡々とマークシートを塗りつぶしていく。
俺は試験開始5分程度で問題をすべて仕上げ、机に突っ伏した。
『イノウエよ。なぜ休んでいる? ククク、ここで放棄するのか?』
……放棄なんてしてねぇよ。とりあえず問題を一周したから小休止だ。ちょっと休んだら確認をしようと思う。
『確認する必要などない。イノウエの正答率は98%。1か所間違いあるがどうする?』
なんですと?
でも、もういいじゃん。
合格ってやつだろ?
『残り2%を埋めなくてもよいのか?』
うん。
『2%を軽んじた罪は、千年の大罪に匹敵する。よいか、イノウエ。そのような精神では、仮に運よく行政書士になれても、世界の支配者にはなれぬ。今のイノウエでは、ただの雑魚行政書士にしかなれぬと断言してもよい。よいのか? 貴様は真の悪になれるのだぞ?』
そういわれてもな……
つーか、合格点に達成しているなら、もう、これでいいじゃん??
『イノウエは知らぬのだ。暗黒魔軍が勇者の村を攻めたとしよう。そして98%の民をせん滅した。だが残り2%生き残った』
えーと?
『その2%の残党が力をつけ、そして勇者と名乗り、へき地で武勇を轟かすことになるであろう』
だから??
『2%をなめるな! 徹底するのだ!! イノウエは1000%以上の回答で、この試験を勝利せよ!!』
頭痛を堪えながら、ミスした個所を探していった。
結局、特段おかしいところが見つからなかった。
『ククク、イノウエよ。貴様にミスなどなかった。だが予に言われ自身を信用できなかった。これこそ最大のミス、そして、イノウエの弱点だ。イノウエは自信を持つがよい。ククク。あははは!』
……ダリーわ。