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初等部編 カトリーナside2



 アリアとイザベラには夏休みに入ってからと伝えたが、先方の都合で急遽テスト直前の日曜日にスクラート様とお会いすることになった。何でも、予定よりも早く隣国へ留学なさることになったらしい。

 留学の話自体が初耳で、婚約者候補になるかもしれないのだから、それくらい教えて欲しかった。だが、こちらもなかなか返事をしなかったのでお互い様かもしれない。



 いつもとは違い新しく買ってもらった私の瞳と同じラベンダー色のドレスを身にまとい、両親と共にシュツェ侯爵家の王都の屋敷へと向かう。

 私達貴族は大抵、王都と領地の2ヶ所に家を持っていることが多い。シュツェ侯爵は普段領地にいるため、私とスクラート様の顔合わせのために態々王都に来てくれたのだ。


「カトリーナ、後悔しない?」

 お母様に心配をかけないよう目をしっかりと見つめ返して大きく頷く。

「はい。私が自分自身で決めたことですもの。後悔なんていたしません」

 私の返事を聞いてまだ何か言いたげな表情をしていたお母様だが、それ以上は何も言わなかった。



 シュタインボックスの屋敷とは比べ物にならないくらい立派なお屋敷へと到着し、思わず息を飲んだ。

 アリアのお家も立派だとは思ったけれど、こっちは果てしなく広いわね……。


 それもそのはず。王都でも研究を行いたいとラボをいくつも敷地内に持っているシュツェ侯爵家のお屋敷は公爵家に引けを取らないどころか大袈裟に言えば小さな町くらいの広さを誇っている。そのため、王都にあるとはいえど中心部ではなく馬車で一時間程離れた郊外地に屋敷を構えているのだが。それでも規格外の広さであることには変わらない。



 応接間までの間を案内されながら失礼にならない程度に屋敷内を観察する。派手さはないものの品のある調度品がバランス良く飾られており、時には壁一面が本棚になっている箇所もある。多くの図書と落ち着いた雰囲気の空間にうっとりとしながら、本のタイトルを目につくものだけでもとチェックしながら歩く。


 一度はお目にかかりたいと思っていた書籍の数々に胸の高鳴りが押さえられないまま、応接間へとたどり着く。扉が開けば既にそこにはご当主と奥様、そしてスクラート様がいた。


 スクラート様の冷たい氷のような眼差しに先程までの高揚した気持ちはすぐに消えた。未来の婚約者の眼差しを恐ろしく感じながらも、日々の練習の成果だろうか両親の後に次いで自然と挨拶の言葉が口から滑りでた。


「本日はお招きありがとうございます。カトリーナ・シュタインボックスと申します。私のことはカトリーナと呼んでくださいませ」


 なるべく優雅に見えるよう微笑むもスクラート様は表情一つ変えないうえに、挨拶以外は一言も口を開かないではないか。無口とかそういうレベルの話ではない。段々腹立たしくなってくるのを心の中でひたすら円周率を数えてやり過ごす。


 しかし、しばらく両親が話をしている様子を見ていると違和感を感じた。そう、最初の挨拶で名乗ってからは奥様以外一切口を開いていないのだ。もしや……とある疑惑を持って当主であるシュツェ侯爵を見た瞬間、頭を抱えたくなった。


 どうして、侯爵まで無表情なうえに眼差しが氷点下なのよ。


 スクラート様の容姿は母親似の美しく優しげな造りなのに、父親そっくりの無表情と氷の眼差しが全てを台無しにしている。

 きっと、私の予想は当たっているのだろう。この親子は社交性が恐ろしく低い。二人きりで話さなければならない場面がすぐそこまで迫ってきていることに頭痛を感じながら、懸命に話題を可能な限りたくさん考えるのだった。



 

登場したにも関わらず一言もスクラートの会話を書けませんでした。次回はカトリーナの二人きりになるため話すはずです。たぶん

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― 新着の感想 ―
[一言] 話事態 ⇒話自体 ですよね
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