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初等部編46


 そして、本日も私達は勉強をしている。今日は私達3人に加えて、男子4人も一緒だ。最近はますますこの7人でいることが増え、気軽なやり取りも多くなっている。


「ーーーで、ここにこの公式を当てはめるというわけ。分かったか?」

「…………多分、分かったわ」

「多分じゃ後で一人でやったら分からなくなるだろ。似た問題があるからこっちもやってみな」

「………………あら?あの……もう一度教えてもらえるかしら?」

「だーかーらー、ここに公式を入れてだなー!!」


 さっきからイザベラとジンスが同じようなやり取りを何度も繰り返している。何度聞かれても口は悪いものの根気よく教えてくれるジンスは最早イザベラの専属教師のような状態だ。


「俺も自分のことやりたいんだけど」

 ジンスが溜め息をつきながら言うもののイザベラは全く気にした様子はない。


「ジンスさんは先程から絵ばかりを描かれていて勉強してないじゃないの。遊んでるなら教えてくれてもよろしいのではなくて?」


 そう、ジンスは勉強会を始めてからずっと漫画のようなものを描いていて全く勉強をしていないのだ。因みにこの世界には漫画はないため、私以外の皆には一枚の紙にいくつもの絵をひたすら描いているように見えるらしい。


「へー。そんなこと言うんだ。これを見ると史学のテスト対策になるんだけど、イザベラ嬢はいらないんだな。

 友人だから特別に無料(ただ)で貸そうかと思ってたけど、これは他の史学が苦手なヤツに貸すことにしよう。勿論、有料で」


 からかうようにニヤニヤしながらこれまで書き上げたページをペラペラ振っている。しかし、イザベラは興味なさそうにチラリと紙の束を横目で見ただけだ。


「そんな絵ばかりの紙が勉強になるはずないじゃない。私をからかう気なんでしょうけれど、そうはいかないわよ!おーほほほほほほは……」


「そーですかー。後で泣きを見ないといいな。なぁ、アリア見てくれないか」


 そう言って渡された10枚ちょっとの漫画は四コマ漫画が描かれている。


「絵はあんまり得意じゃないから売れそうなら人を雇って描いてもらうつもりなんだ。下絵だと思って見てもらえると嬉しいんだけど。参考までに感想をくれないか?」


 そう渡されたものは確かに年齢の割りには上手だが、売り物にするには物足りない絵が描かれていていた。それをカトリーナも興味深そうに隣から覗いてくる。


「これって、上から下に向けて読めば良いのよね?」

 私とカトリーナは一緒に読み始める。内容はちょうど今回のテスト範囲になっている、シュテインビルト帝国ができるまでの歴史だ。四コマ漫画とは言いつつも、前後の四コマ漫画の話は続いており、歴史の流れが分かるようになっていた。


 きっと四コマにしたのはコマ割りが難しいからこういうスタイルにしたのだろう。まぁ、私も読む専門だったから全く描けないのでアドバイスのしようもないんだけど。


「分かりやすいわ!!知識を深めるために、注釈を脇に載せるのも良いんじゃないかしら?それにしても、ジンスさんは多才ねぇ……。どこでこんなに新しいものを次々と思い付くのかしら」


 そう言いながら不思議そうに首をかしげているカトリーナにジンスは曖昧な笑みを浮かべた。そりゃそうだろう、前世の記憶があるなんて言ったら頭のおかしい人扱いだもの。言えるはずなんてない。


「ジンスが変わっているのは今に始まったことではないじゃないか。僕たちにもその紙を見せてもらえないか?気になって勉強が手につかない」

 手を伸ばしてくるプリオスに漫画を渡すと男子達は頭を付き合わせてワイワイと楽しそうにしている。


「イザベラ、ジンスに謝っちゃえば?」

 羨ましそうに眺めているイザベラに声をかけるが、首を縦には振らなかった。羨ましいがプライドが邪魔して「見たい」と言えないようだ。

 プライドが高い方には見えないけど、強情な部分があるんだなぁ。





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