初等部編43
ご飯にぴったりな器ってお茶碗のことだよね。確かに今までお皿やスープの器なんかはあったけど、お茶碗はなかった。
確かにこれなら私かジンスにしか作れないかもしれない。
ジンスが言った器について考えていると顔が近づいて来た。みんなに聞かれたくないことかな?お茶碗についてだろうか。
大人しく何を言われるのかを待つ。
「俺とお前ので夫婦茶碗にでもしようか」
…………めお……と……ちゃわ…………ん?
「ーーーーーー!!」
言っていることを理解したと同時に振り向けばジンスの優しげな瞳と視線が交わる。
顔がみるみる熱くなるのを感じて先程までとは全く違う感情で下を向いた。
恥ずかしい……。
きっと私の顔は真っ赤になっているに違いない。
「ジンス、アリアに何を言ったのかな?」
レオがジンスを問い詰めているのが聞こえてくるが、私はそれどころじゃない。暑くなった顔を手で必死に冷やす。
何で皆がいるところで言うのよ。ジンスのバカ!!そういうのは二人きりの時に言ってよ……ね…………?
ん?何で二人きりの時?私ってジンスが好きなのかな……。いやいやいや。それはないでしょ。いくら同じ転生者だからって……。そもそもジンスは私のこと妹だって思ってるって言ってたじゃない。だから、例え私が好きになったところで報われるわけないし。
それだったら、私のことを好きだっていってくれるレオの方が安心して好きになれるじゃな……い。
んがーーーー!!だーかーらー、ジンスもレオもあり得ない!!ジンスは私を女として見てくれないし、レオに限ってはまだ初等部の子どもじゃない。まぁ、私とジンスも子どもなんだけど。でもでも、私とジンスはメンタルが大人だもの!!ねっ、そうでしょ!!
心の中で自問自答を繰り返していれば、ポンっと肩を叩かれた。
「アリア、王子がヤバい。止めてくれ」
その言葉にレオを見れば、手に凶器を持っている。
ヒュンッッ
その凶器は私とジンスの間を物凄いスピードで飛んでいった。
「ジンス、アリアに触るな」
そう言いながらレオは再びペンを投げる。今度は確実にジンスに当てようとしている。危ない!!と思った瞬間、ジンスは颯爽と避けた。そしてそのペンは真っ直ぐ飛んで行く。危うく女子生徒に当たりそうになったところで男子生徒がペンを掴んで止めた。
「ダメだよ、レオナルド!!そういう時はぐるぐるに縛って動けないようにしてからやらないと。狙ってない人に当てたら大変でしょ!!」
その男の子はプンプンと効果音が着きそうな感じに可愛らしく怒っている。言っていることはヤバめなだけにギャップが激しすぎる。
「レーン様…………」
カトリーナが小さな声で呟いた。レーンは気まずそうな顔でカトリーナの方を一切見ようとはしない。そう、レーンの腕には可愛らしい雰囲気のご令嬢、エラ・ヴィダーが張り付いていた。それはもう、べったりと。
「レーン、私とっても怖かったですわー。でも、レーンが守ってくださって嬉しかったー」
カトリーナの方をちらりと見て一瞬勝ち誇ったような顔をしたのを私は見逃さなかった。睨み付ければ、更にレーンへと体を刷り寄せている。
「ねぇ、レーン。私達が婚約者候補になったこと皆さんにご報告しましょうよー。もう知っているとは思うけれど、直接お伝えするのが礼儀だと思うのー」
甘えたように言うエラは確かに可愛いのかもしれないが、見せつけるようにべたべたしていて感じが悪い。
レーンはどうにか腕から振りほどこうとしているが、女の子相手に乱暴なこともできない為かなり困っているようだ。
「そこのお嬢様。そんなに必死になると可愛らしいお顔が台無しですよ?」
意外にもジンスがエラへと声をかけた。ニコニコと笑っているが、明らかに敵意を向けている。
「あなた誰よー。部外者は口を挟まないでちょうだいー」
じろりとエラはジンスを睨み付けるが口調のせいかマヌケ感が否めない。




