初等部編41
スコルピウス家でのご飯会の翌週、私達は王立図書館へと郊外学習でやって来ていた。1年生は国一番の書籍量を誇るこの図書館へと来て調べるところから研究がスタートするそうだ。
今日はアマ・デトワール学園で貸しきっており、郊外学習の調べものをする学園の先輩達も大勢来ていた。
貸し切りには驚いたけれど、貸しきってしまった方が安全の確保がしやすく、生徒が問題を起こさないようにするためにもこのような対処になったらしい。何でも貸しきってなかった時、図書館を利用中の一般市民に生徒が権力を振りかざすことが多発したとか。
うん。一般市民に迷惑をかけるとか、権力を振りかざすなんて最低だよね。そんなことが多発するなら貸し切った方がマシって感じだろうな。
「それにしても、お米があんなにも美味しかったとは。ジンスのおかげでステーキの幅が広がったよ。これからはお米の備蓄と生産地拡大、品種改良なんかも課題か。一番はどうやったら食べてもらえるかだな。一般市民でも嫌がる者がいそうだが、貴族となると余計だろ」
ご飯を食べてからすっかりハマってしまったフランチェスコは難しい顔をしている。食べる前に比べてノリノリで郊外学習に望んでいるのはステーキ効果だろうか。
「そこだよな。よく抵抗もなくフラン達は食べたな。ダメ元でこんなに上手く行くとは思わなかった。何で食べれたんだ?」
それ、私も聞きたい!思わずフランチェスコに視線を送れば目が合った。
「何でもなにも、あんなに食べたがってる人を目の当たりにしたら普通は興味をもつ。それが無ければ食べなかったと思う」
これは、私が教室でお米フィーバーした時の話!?それとも食堂?うわぁ……どちらにしても、聞かなきゃ良かった。あの姿は絶対にお母様には見せられないよ。絶対に令嬢としての勉強時間が増えちゃう。
「と言うことは、まずは十二星座の名を持つ僕らが食べれば興味を持つのではないか?例え食したくなくとも共通の話題作りに口にするものが増えると思うのだが」
「プリオスの言うとおり、それが一番の方法だろうね。今度、城でのお茶会の時にでもおにぎりだっけ?出してみようか」
レオの提案にジンスは首を横に振った。
「いや、まだその段階は早いんじゃないか?もし受け入れられた場合、需要と供給のバランスが悪すぎる。今のところ食用の米はフォックス領だけの生産だろ。フォックス米をブランド米として高値で売る予定だけど、他の領地でも栽培して品種改良するのが先が良いんじゃないか?」
「そうしたら、お茶会やパーティーには出すけれど、一般販売はしないのが一番良いんじゃないかしら。受け入れるのにも時間がかかるでしょうし、もしそこでお米の良さに気づいてもらえれば国をあげてのプロジェクトになるかもしれないわよ」
カトリーナの意見に男子達は考え込んでいる。
「それだと、研究課題にできなくなるんじゃないか?」
「そんなことないわよ。フォックス領独自で品種改良は続ければ良いでしょうし、国をあげてのプロジェクトに持っていくまでの過程だけでも十分すぎるほどの好評価よ。初等部に通いながらもプロジェクトのメンバーとして活躍することになりそうだけど」
「カトリーナ嬢の意見が良いんじゃないかな。僕は災害時のための備蓄量の算出とその量をどう確保していくのか。災害時にどのようにして民に配給するのかを課題にしたいな。国のためにも早めにお米を食べることを受け入れてもらいたいしね」
確かに。レオの言うとおり備えは早めにしておくべきよね。何かあってからでは遅いもの。




