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初等部編35


「それは今回の商品を王家でも宣伝して頂けるということでしょうか?」

 ジンスが目を光らせてレオに話しかける。

 確実に流行ると踏んでいても王家が気に入っているとなると箔が違う。きっとジンスの頭の中では算盤(そろばん)が弾かれていることだろう。


「そうとってもらって構わないよ。ただし、商品をスコルピウス公爵家とシュタインボックス侯爵家の次に卸すのは勿論、王都で店を開く場合は私も共同出資者にさせて欲しい」

 ジンスが一瞬だけ目を丸くさせたが、すぐに商売人の顔へと戻りお父様へと視線を投げた。


「それでは王都では王家と。シュタインボックス領の本店ではシュタインボックス家と合同出資と致しましょう」

 お父様はにこやかにレオの提案を受け入れるが、今度はパトリシア様が待ったをかけた。


「デニス、そのようなことは聞いていないわよ。仮にうちの領で店を開いたとしても王都と違って儲けは出ないわ」

 自虐的な発言だが納得してしまう。何故なら残念なことにシュタインボックス領は広大な土地を持っているものの観光できるようなところは皆無。宿泊できるところも数は少なく、貴族が泊まるようなホテルはない。貴族がシュタインボックス領へと行く場合は侯爵家の一棟が来客用となっており、そこで宿泊をするのだ。


「それに関してはジンスと案を考えたから心配はいらないよ。まず、侯爵家の来客用の一棟を改修して一日5組限定のホテルへとしたい」


「そうするとうちの領へ招いた客人や移動途中の宿にする方々はどうなさるの?」


「客人と十二星座の家は本邸へ泊まってもらえば良いだろう?他は少し格式高いホテルを建設すれば万事解決じゃないか」


「確かにそうだけれど、うちよりも勢いがある伯爵家は黙ってないわ……」

 パトリシア様は遠い目をしながら言った。きっと今まで色々と嫌な目にあってきたのだろう。だが、お父様の構想はまだまだ続く。


「そこはほら、他所の家の力を借りれば良いじゃないか。うちとか王家とかね。

 レオナルド王子、当然味方になって頂けますよね?」


「別に構わないが、新しくホテルを建設する真意はなんだ?」


「シュタインボックス家の経済状況改善の一歩になります。シュタインボックス家は我々貴族が泊まるようなホテルを有していないため、他領から人が来る場合は全てシュタインボックス家が費用を賄っております。その額は年間でかなりのものと予想されますので、新しくホテルを建設しても数年でその費用は回収可能です。

 それに、費用を負担してくれるのを良いことに少し位遠回りでもシュタインボックス領で宿泊される貴族もかなりの数おりますので、無駄な出費を抑えることとなります」


「なるほどな。十二星座の名を持つシュタインボックス家への新興貴族達の対応には我々も頭を痛めていたところだ。ここは度肝を抜いてやりたいね。十二星座と自分達の格の差を見せつけてやれば少しは大人しくなるだろう」

 愉しそうに笑いながらレオは言う。


 あぁ、彼も王族なのだ。分かっていたつもりできっと分かっていなかったのだろう。急に遠い存在に感じる。ちょっと寂しいな。

 …………寂しい?いやいやいや、レオが国王になるのならこれからも国は安泰なのだから良いことじゃない。それなのに寂しいって思うなんて……。


 私が一人勝手に落ち込んでいる間に話し合いはどんどん進んでいった。最終的にはお父様とジンスの案でいくことになったらしい。細かいことはこれから話し合っていくそうだ。


 そして遂に待ちに待った。愛しのお米ちゃんの番が来た。




やっとお米の出番です。思ったよりも遅くなりました。

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