初等部編33
今日からまた少しずつ投稿していきますので、よろしくお願いします<(_ _*)>
そして昼前スコルピウス公爵家にはレオナルド、リカルド、フランチェスコ、プリオス、パトリシアがやって来た。勿論、ノアも帰ってきている。
非公式の場に王族、十二星座の名を持つ貴族達が集まるなんてそうあることではない。例え子供が中心だとしても。それが子爵家の四男によって集まったようなものなのだから、前代未聞の状況である。
そんな状況下で不敵に微笑んでいるジンス・フォックスを満足げに見守っているスコルピウス公爵の様子を見れば、誰もがジンスはスコルピウス家の庇護下へと入ったと思うであろう。
「さて、今日は米の試食の前に皆に食べて欲しいものがある」
お父様がそう言った後にメイド達が続々とワゴンを押しながら応接間へと入ってきた。ワゴンの上には様々な味のソースがかかったパンケーキや色とりどりのアイスクリーム、フルーツティーに……。
あれ?ワイングラスが乗ってる。あれがジンスが言ってたサングリアなのかな?フルーツティーと同じで果物を入れてある。この場に出てるってことはお父様のお眼鏡にかなったのだろう。お洒落で味も良いとなれば、社交界でも流行るんだろうな。
そう思いながら周りの様子を見れば、今日この場に来たメンバーは真剣な表情でワゴンを見ていた。品定めをしている彼等の様子をにこやかに眺めるお父様……とジンス。
「ジンスさんとはうちが契約したかったわ。少しでも早くうちにも取り引きに来てもらうようにしないと、社交界で取り残されるわね」
「そうね。有り難いことにお母様の許可が降りれば今回はうちとも契約だけれど、今後のためにもジンスさんの動向には目を光らせておいた方が良いわね。これからは彼の生み出す商品が流行の最先端になるのは間違いないでしょうし」
イザベラとカトリーナは頷き合った。
彼女等は筆頭貴族として流行の最先端にいる必要がある。十二星座の貴族は他の貴族達に一線を画す存在でなければならないのだ。勿論それは私にも言えることなのだけど。
私達が話している間にテーブルの上に用意された品々。パンケーキは厚いのと薄いのの両方が一口サイズにたくさんの種類が食べられるようにしてある。
「多くの味を楽しんで頂けるよう一口サイズにさせて頂きました。今後の改良の為にも好みや感想を頂けると嬉しく思います」
ジンスが話し終わると今回の主催となるお父様とジンスが一口食べたことで皆も口へと運ぶ。
「………………!!」
初めて食べた人達は驚きを隠せないようだ。昨日と同じように皆が黙々と食べ進めるなかレオが口を開いた。
「スコルピウス公爵、ここにあるもの全てを商品としていくとして時期はいつ頃の予定だ?」
淡々と抑揚のない声を出すレオはまるで別人のようだ。今の彼には普段の柔らかい雰囲気は感じられない。
そんなレオを見てお父様は不敵な笑みを浮かべた。
「商品化が決定したのは昨日のことなので、まだ詳しくは決まってないのですよ。レオナルド王子様はこれらのものをどう思われました?」
どうやらお父様は会話の主導権を渡すつもりはないようだ。お父様とジンスのことだから概ね御披露目の時期まで決めてあるだろうに全く情報を口にせず質問まで返すのだから大人げないことこの上無い。




