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初等部編32


「確かにそうよね。私ったら嫉妬するばかりで……。嫉妬していたって状況は変わらないもの。お母様の説得を頑張るわ!!」


「私達は行かなくても大丈夫ね」

 余程カトリーナのお母さんが怖いのだろう。イザベラはまだ行かなくて済む方法を探しているらしい。けれど、カトリーナが私達を逃してくれるはずもなく……。


「一緒に行くって約束したわよね」

 顔は微笑んでいるのにイザベラを見るカトリーナの目は全く笑ってない。表情筋のみで笑顔を作っているのだ。


「えっえぇ、えぇ勿論ですわ。お約束しましたもの。おほほほほほほほほ……」

 引きつった顔で笑うイザベラに対し満面の笑みを浮かべるカトリーナ。何ともシュールな光景である。


「あなた、パトリシア様に似てきたわね……」

 ぼそりと呟いたイザベラの言葉を私は聞き逃さなかった。

 何ということだ!!カトリーナでも十分怖いのに……。カトリーナのお母さんって比ではないくらい怖いってことじゃないの!!

 昨日の皆の怯えようを思い出してますます不安になっていく。そんななかお父様が爆弾発言をした。


「パトリシアならこの後来るって連絡があったよ。私が朝手紙を書いたら何故かそのようなことになったんだ」

 お父様の言葉にジンス以外はフリーズしてしまう。その中で一番早く正気に戻ったのはお母様だった。


「何ですってーー!!デニス、私聞いてないわよ。何がどうしてそうなったのよ!!今回は子供達に説得を任せるから怒られないで済むと思ったのに、あなたは何てことをしてくれたの!?」

 お母様は頭を抱えている。

 …………あれ?お母様って説得を私達に押し付けたの?自分が行くのが怖いからって?

 ジトーっと効果音が付きそうな程お母様を見詰めれば、私の視線にハッとしたようにこちらを見た。


「ちっ違うのよ。押し付けたとかじゃなくて…………そう、経験になると思ったのよ。人を説得するのって難しいでしょう?だから経験を積んだ方が良いんじゃないかなぁと………………」

 しどろもどろになりながらも弁明をするが時既に遅し。気付いちゃったもんね。


「お母様、往生際が悪いのではなくて?押し付けたのよね。幼気(いたいけ)な私達に」

 じろりと恨めしげに睨めば、お母様は眉を八の字にして困ったように視線をそらした。


「……パトリシア様が怖かったのよ。押し付けて悪かったわ。ごめんなさいね」

 大のおとなにまで怖がられるカトリーナのお母さんって……。まぁ、お母様の場合は教育もして頂いたって言ってたし頭が上がらない部分が大きいのかもしれないけど。


 私達がわちゃわちゃと誰が説得するのか揉めているとお父様が不思議そうにしている。


「パトリシアの説得は私とジンスがするから心配しなくて良いんだよ」

「ーーーーー!!」


 神だ!神がおられる!!そんなに怖い人の説得を快く引き受けてくれるなんて!!

 尊敬の眼差しで見詰めればお父様は苦笑した。


「私とパトリシアは幼馴染みでもあるんだよ。頑固なところはあるが、話が分からない相手じゃない。

 カトレアは厳しく指導を受けたから分からないでもないが、アリアとイザベラ嬢はほとんど話したこともないだろう?自分で話してもいないのに他の人の意見や噂話で決めつけてはいけないよ。

 これはパトリシアのことだけじゃない。これから先出会う人達をきちんと自分の目で確かめなさい。相手がどんな人なのか。勿論、危険な人物には近づいてはいけないけどね」


 確かに私達はあまり話したこともないカトリーナのお母さんのことを人の意見を聞いて勝手に決めつけていた。お父様の言うとおり危険人物でもなければ自分の目で確かめるのは大切なことだ。

 こんな当たり前なことを忘れていたなんて……。


 私達はお父様の目をしっかりと見て大きく頷いた。







いつも読んで頂きありがとうございます!

この頃体調が優れないため一週間程休載しようと思います。その間も書き貯めが行えそうならしていく予定です。次回更新は来週半ばを予定しております<(_ _*)>

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