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初等部編28


 物凄く落ち込んで王都へと帰ったお父様だったがお母様のことが諦められず、王都まで着くとすぐに当時婚約予定だった女性に会いに行った。「婚約できなくなった」と伝えるために。

 その時の婚約者候補が何とカトリーナのお母さんだったのだ。


 私は心の中で「お父様、最低」と罵る。

 カトリーナのお母さんはシュタインボックス家に嫁いで幸せになってるみたいだけど、婚約間近で白紙に戻したいなんてやられた方はたまったもんじゃない。

 何だか居たたまれなくてカトリーナを見れば平然としている。


「この話は社交界でも有名だし、私もお母様から聞いているからアリアが気にすることはないわよ。そもそもお母様はスコルピウス公爵に嫁がなくて済んでホッとしたって言ってたもの」


 カトリーナの発言に今度はお母様の様子を窺えば、こちらも特に気にした様子はない。


 何だか私だけが二人の様子窺ってない?こういう会話って女性の中では普通にすることなの?

 腑に落ちない気持ちにはなったが私が勝手に心配したのだ。誰にも文句は言えない。


 何でイザベラは平気なの!!と恨めしくイザベラを見れば優雅にフルーツティーを楽しんでいた。ティーポットの中に何のフルーツが入っているのかを見たり、メイドに作り方を知っているのか聞いたりと同じ席にいるのにまるで別の空間にでもいるみたいだ。


 一人であたふたして馬鹿みたい。私もフルーツティー飲んで気持ちを落ち着けよう……。

 あっ!これカモミールティー使ったんだ。

 カモミールって紅茶と違ってカフェインレスだし、リラックス効果もあるから夜に飲むのに最適なんだよね。

 ジンスって前世でも男性なのにどこでその知識を得たのだろう。うーん……。料理上手だし本当にただの大学生だったのかな?


 別のことに意識を飛ばしていれば「アリアちゃん聞いてるの?」とお母様から注意が入る。

 何で私ばっかり!?とイザベラを見ればお母様から鋭い視線を向けられたので仕方がなく謝罪を口にして話の続きを聞く。



 お父様が婚約できないと告げるとカトリーナのお母さんは

「これで社交界の花になれって言われなくて済むわ!今まで言えなかったけれど、私には公爵家(あなた)の婚約者になることが重荷だったのよ。

 好きな人ができたのね?協力するわ!何でも言ってちょうだい。デニスったら女心なんてまるで分からないんだもの、何か行動を起こす前に私に相談するのよ!!いいわね?」

と両手を上げて喜んだらしい。

 しかも、婚約しないことを認める条件に「自分の新しい婚約者となる人を見つけてこなければ、公爵家に泣きながら乗り込むからね」と脅しまでしたそうなのでかなりの強者だ。


 好きな人は怒らせるし、婚約者になるはずだった女性には重荷だと言われるし……、条件付きだが婚約しないことへの同意を得られたのは良いがお父様の心はずたぼろになったことだろう。

 同情はしないが不憫だ。


 

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