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初等部編23

いつもより短めですが切りが良いのでここまでで投稿します<(_ _*)>


「後でお母様から聞いたのだけど、この婚約者候補の話は私が物心つく頃からあったみたいなの。それでもお父様は私のためにと了承しないでいてくれた。だけど、今回のレーン様の一件があったのを見てお父様のお気持ちが変わってしまったの。

 好きな人と婚約できなくてもゆっくり愛を育めば良いって。それに、私の才能を発揮できるのはシュツェ家だろうって。

 シュツェ家に嫁ぐのを自分のせいにすれば良いって頭まで下げられたの。私の幸せを考えて……。

 なのに……それなのに、私はレーン様をお慕いしているの。レーン様の婚約者候補になれていれば、せめて他の方に決まっていなければこんなことにはならなかったのにって思ってしまうのよ」


 静かに涙を溢しながら自分を責めるようにカトリーナは言った。


「「カトリーナ……」」


 私とイザベラは言葉がみつからなかった。こんな時に何て声をかければ良いのだろう。


 暫く沈黙が流れた後カトリーナは笑った。


「こんな話をしてごめんなさい。聞いてもらえてスッキリしたわ。

 明日家に帰ったらお父様にスクラート様とのことをお受けすると伝えるわ」


 ぎこちないけれど精一杯の笑みに私達まで胸が締め付けられる思いがした。


「もし……もしも、シュタインボックス領の経済状況が良くなったらカトリーナはシュツェ家に嫁がなくても良いの?」


 カトリーナの答えは分かっていた。それでも一縷の希望が欲しかった。カトリーナとレーンが結ばれるように。


「何であなたが泣くのよ……」

 カトリーナが眉を八の字にして私の涙を拭う。


「いつかこうなることは分かっていたの。

 例えリェーフ家が私とレーン様を認めて下さったとしても私が嫁ぐことはないもの。リェーフ家は代々騎士の家系よ。今は国々の均衡が上手くとれているけれど、いざとなったらレーン様は戦場へと赴くわ。

 愛する人が戦地へと向かうのを見送るなんてできない。きっと泣いてすがってしまう。私にはレーン様と人生を共に歩んでいく覚悟がないのよ」


 イザベラは俯き、私は泣いた。本当はカトリーナが一番泣きたいはずなのに、カトリーナはもう泣かなかった。


「こんなに私のことを想ってくれる友達がいてくれて私は幸せよ」

 困ったように笑いながら言うカトリーナの目に迷いはなかった。


「決めたのね?」

「えぇ。まだレーン様への想いは胸にあるけれど、前に進むわ」


 カトリーナは前に進みたくて私達に話したのかもしれない。話を聞くしかできないけれど、いつだって私達は……。


「カトリーナ、私達はいつだってあなたの味方よ」


 顔を見合わせて私達は笑った。皆涙で濡れたひどい顔をしていたけれど、そんなことは少しも気にならなかった。

 カトリーナが少しでも幸せになれますように……。窓の外の青空を見ながら心から願った。





お茶会が終わったらカトリーナとスクラートとの出会いを書きたいと思います!

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