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初等部編20


 お昼ごはんは少な目にして、オフホワイトのワンピースへと着替える。庭師のコッコロがテーブルの花瓶に生けるように持ってきてくれた薔薇から一輪取り、私の髪へとミモルが挿してくれて身支度は完成した。

 お茶会とはいっても女友達三人で集まるだけの堅苦しいものではないので、ラフな格好で良いのだ。

 記憶が戻ったばかりの頃、ワンピースがラフな格好って……と内心突っ込みつつ、ドレスを着ることが多い貴族なのだから当たり前かぁ……と一人で納得した日が懐かしい。


 まだ一年も経っていないのにこんなに懐かしいなんて変な感じ。思い出したばっかりはあんなにも辛くて苦しかったのに、今は前向きな気持ちでいられるなんてジンスのお陰かな。

 お礼に明日はお米の良さが皆に伝わるように私も全力でサポートしようっと。そんなんじゃ全然足りないけれど、この恩を返すには小さなことをコツコツしていくしかない。

 まぁ、当の本人は「礼なんかいらない」って言いそうだけど。



 そろそろカトリーナとイザベラが来る時間なので玄関ホールへと向かえば、門のところまで二人の馬車が着いたとのこと。それなら直に来るだろうからこのまま玄関で待つことにしよう。


「「アリア(さん)今日はお招きありがとう(ですわ)」」

 深紅のワンピースのイザベラと淡い水色のワンピースを着たカトリーナが笑顔で挨拶をしてくれる。

 両親にも挨拶をしてから今日のお茶会の場所、庭園のよく見える応接室へと案内をする。初夏に差し掛かる時期なので空調の効いた室内から花々を愛でるのだ。

「まぁ、薔薇の花が見事ですわね。私、お花の中では薔薇が一番好きですの」

 嬉しそうに目を細めながらイザベラは手を叩いて喜んでくれた。


 学園のことにドレスやアクセサリー、入学前に催された王家主催のお茶会のこと……色々な話をした。その間にサンドイッチ、クッキー、ゼリー、ベジタブルチップスも次々と私達の口の中に消えていく。


「このゼリー?美味しいわね。甘いのにさっぱりしてて色も綺麗だし……。今回もアリアの提案?」


「えぇ、ケーキも美味しいけれど暑くなってくるとさっぱりしたものが食べたくなるじゃない?だから料理長に頼んで作ってもらったの。こんなのが食べたいってリクエストするだけで作ってくれるんだもの。シェフ達の努力の賜物よね」


「今回もってことはこれの他にもあるんですの?」

 驚いたように目を丸くしたイザベラが前のめりで声をあげた。


「え、えぇ……。今日でいうとそこのベジタブルチップスも私の提案ですわ」

 それを聞いてベジタブルチップスを一口食べたイザベラがブルブルと震え始めた。

 ……あれ?なんかこんな感じのことが最近あったような。


「かっっ革命ですわーーーーー!!」

 ガタンっと椅子から立ち上がり叫ぶイザベラにカトリーナは深く頷き、私は間抜けにも口をあんぐりと開けて見つめる。


「この食感に仄かな甘みと絶妙な塩加減。何か分からないので手をつけずに様子を見ていたことを私は猛烈に後悔していますわ。

 サンドイッチとクッキーも美味しかったですけれど、もっとこのベジタブルチップスを食べれば良かったですわ……」

 言い終わると静かに椅子に座りながら項垂れるイザベラ。

 ……なんかごめん。とよく状況が読めないながらも心のなかで謝る私に対し、カトリーナが追い討ちをかける。


「イザベラ様、ゼリーも是非召し上がって下さいませ」

 

 桃の果実入りのゼリーを食べたイザベラはまたしても「革命ですわー!!」と叫んだ後、商品化した方が良いと力説してきた。




 

 



イザベラが出てくると物凄く書きやすいです。アリアとレオは実は書きにくい。メインキャラなのに……

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