幼少期5
ノアの攻略ルートでも私は出てくるのだが、至って平和なルートだ。
ノアが魔術師になるのはレオナルド王子ルートのみだし、ライバル令嬢も出てこない。
難点と言えば、攻略が非常に難しいことだ。
まず、ノアルートは年が2つも離れているため攻略を一年で行わなければならない。
また、アリアと仲良くなる必要があるのだが、アリアはノアが入学するまではレオナルドのルートのみに現れるため、途中まではレオナルド王子ルートを進むことになる。
そこで少しでもレオナルドの好感度を上げてしまうとノアルートには入れなくなるし、アリアからの好感度はバロメーターが見えないため、どこまで上がったのか分からない。
シナリオ自体は一番人気なのだが、攻略が鬼のように難しいため、鬼畜ルートと呼ばれ、ノアファンを燃え上がらせていたものだ。
余談だが、ノアルートではアリアが王妃になる。むしろ、レオナルド王子ルート以外ならアリアは王妃だ。そう思うと、アリア哀れだな。ヒロインさえ現れなければレオナルドと幸せになれたんだもの。
そのアリアになっちゃったから同情してる場合じゃないけどね。
なので、私が気を付けなければいけないのはレオナルド王子ルートのみとなる。
私は二度目の人生だ。修道院に行ったとしても死ぬわけでもないし、衣食住は保証されている。
それに修道院に行ったからといって一生そこで暮らす必要はない。改心したと判断されれば、そこから出て新しい人生を歩むことだってできる。
もちろん、世間からの風当たりは厳しいけれど…。
だから、私が修道院に送られるのは別にいいのだ。辛い思いはするだろうけど、大した問題ではない。
一番の問題はノアなのだ。
ノアは大好きな姉のために魔術師になり、人を殺めるという罪を背負って生きていくか、自身が廃人になるかという末路が待っている。
可愛い可愛い弟の行く末がそんなことになるなんて、絶対にあってはいけない。
ノアには幸せになってもらいたいのだ。
この世界がほしきみ☆と類似の世界ならいい。ヒロインがレオナルド以外を選べばいい。
けれど、楽観視はできない。
運を天に任せる訳にはいかない。
ノアの幸せは絶対に勝ち取って見せる!!
そのために、今からできることをやろう。
あと5ヶ月もすれば、私はアマ・デトワール学園初等部に入学する。そこに入れば、レオナルド王子達と出会うことになる。私の取り巻きとなる令嬢もいるはずだ。
ヒロインは入学するのが高等部からなので、まだまだ時間はあるものの、レオナルド王子ルートに入った時のために初等部から対策を取っておくのが懸命だろう。
本当はもう少し時間が欲しいのだが仕方ない。レオナルド王子と出会う前に思い出せただけでも良かった…。
これからどうしたら良いのか、注意すべきことは何なのかを頭の中で描きながら、悪役令嬢を回避し、ノアの幸せを掴むための作戦を考えていった。
乙女ゲーム内容はここで終わりです。
次ページからはアリアがやっと動き出す予定です。




