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初等部編17

時系列がおかしかったので訂正しました。


 ジンスに聞いていないのも残り二人となった。これは、聞くべきなのだろうか。

 何か怖いな。


「ジンスはアリアのことを今はどう思ってるの?」


 わぉ……。レオが聞いちゃったよ。

 …………ん?今は?


「ねぇ、今はって……」

「この間みたいな答えじゃもう誤魔化されないから」

 レオに話を被されてしまい私の疑問は誰にも届かない。


「前にも聞いて……」

「誤魔化してないし本心だから。そうだなー、今は……」

 今度はジンスに被されてしまい、またもや届かない。

 うーー。腹立つ。フンッ!!


 ガンっ!!


「ーーーーーーーっ!!!!!」


 怒りを込めてジンスの弁慶の泣き所を今度は狙って蹴った。ジンスは蹴られた痛みでビクッとなった時に膝をテーブルに強打してしまった。


「お……まえなぁ…………」


 痛みで涙目になったジンスに睨まれたが、あたかも心配そうな顔で「大丈夫ー?」と聞く。何も知らないとアピールだ。



「そっちがその気なら……。

 フランチェスコ、ご飯に興味ないか?炊きたてホカホカ、ほんのり甘みがあってステーキにも合う」


 いつの間にか食後の紅茶を飲んでいたフランチェスコはステーキにも合うという言葉に食い付いた。そして、あれよあれよと言う間に私のお米がフランチェスコのものになろうとしている。


「ふむ……。それは興味深い。その釜というものの使い方も教えてもらえるのだな?是非食してみたい」


「ちょっと待って。私のご飯は?一番に売ってくれるんじゃなかったの!?」


 このままでは私のご飯がなくなる!と焦って言えば「スコルピウス嬢にはお米の件はお断りされたと記憶しておりますが?」とジンスは意地の悪い笑みで答える。


 うぐぅ……。卑怯な。私のお米を人質にとるなんて!!

 そりゃあ、八つ当たりで蹴った私が悪かったけど。ジンスなら許してくれるって思ったんだもん。


「……ごめんなさい」


「ん?何だって?聞こえない」


「ごめんなさい!!」

 私が謝れば、仕方がないというようにこちらを見ている。


「もうしないか?」


「うん。八つ当たりしてごめん……」


「しょうがねーなー。許してやるよ」

 少し大袈裟に肩をすくめて笑って見せるジンスはやっぱり私より大人だ。


「スコルピウス家には午後に届ける予定だから、リーブラ家には午前か翌週以降に行かせてもらうつもりだったんだよ。

 ちゃんと約束は守るから安心しろ」


 そして、一枚上手のようだ。

 商売魂を感じる。きっとこのメンバーから顧客を増やすつもりなのだろう。狙いが十二星座の名を持つ国の中心貴族なのだから、大したものだ。


 そんな私達の様子をレオが不安気に見ていたなんて、お米のことで頭が一杯になっていた私は気づかなかった。そして、イザベラが悲しそうにレオのことを見つめていたことも……。



 

「それで、ジンスさんはアリアさんのことをどう思ってらっしゃるのかしら?」

 困ったような少し悲しそうな表情でイザベラが聞く。


「んー……手のかかる妹?」


 なんということだ!妹扱いされていたなんて。お嫁に行ってもいいって言ったくせに……。


「それじゃあ、恋愛対象にならないってことだよね?」 


 レオにそう聞かれれば

「さあ?どうでしょう」

と茶化すように行ってからジンスは席を立つ。


「食べ終わったし先に戻ってる。のんびりしてると午後の授業遅れるぞ」

 言い終わるとヒラヒラと手を振りながら行ってしまった。


 時計を確認すれば昼休みも残りわずか私達は急いでお皿を空にしていく。


 食べ終わり皆で教室に戻っていると周りには聞こえないような小さな声でレオが話しかけてきた。


「僕はアリアのこと妹って思ったことないから。

 初めて会ったときから……ううん、手紙の返事を貰ったときには一人の女の子として意識してた。

 僕はアリアのことが好きだよ。僕を選んでもらえるように頑張るから!」 

 それだけ言うとフランチェスコとプリオスのところへ行ってしまった。


 私は赤くなった顔を隠すために下を向いて一番後ろから皆の後をついてひたすら足を動かした。

 恥ずかしさと少しの嬉しさ、イザベラへの後ろめたさ……色んな感情がぐちゃぐちゃになって泣きたくなる。



 私の感じた嬉しさは単純に好かれたからなのか、それとも……。


 その日の午後の授業は全く頭に入ってこなかったのだった。

 




次回はジンスsideで書きたいと思います。


明日は台風により停電が心配なため、携帯の充電が少しでももつように更新はお休みとさせて頂きます<(_ _*)>

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